特許権侵害訴訟では二段階審理が一般的

 今回の損害賠償請求額である500万円は低いのではないかという声もみられる。

「一般的に特許権侵害訴訟では二段階審理という形態がとられます。訴訟を起こす時点では特許権侵害の有無が決定していないため、裁判所に支払う手数料(印紙代)を低く抑えるために損害賠償請求の金額を低く設定します。その後に裁判の進展をみて、訴えの変更を行って損害賠償請求の金額を引き上げたりするといった流れになります。

 今回のリリースにも『ゲームの差止め及び当該特許の登録日から本件訴訟の提起日までの間に生じた損害の一部を損害賠償として求めるもの』と書かれており、500万円はあくまで損害全体の一部に対する賠償という位置づけです」(嵐田弁理士)

 前述のとおり、今回のポケットペアのリリースには対象特許について「パルワールド」発売日より後ろの出願日しか記載されていない点について、同社による「ミスリード」「印象操作」ではないかという声も出ている。

「リリースには対象特許の登録番号が記載されており、特許庁の『特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)』で調べれば、すぐに原特許や分割出願の情報を確認できるので、弁理士からすると、特に違和感は感じられません。純粋に今回の訴訟対象となっている特許の番号、出願日などを記載しただけではないでしょうか」(嵐田弁理士)