中野駅前の象徴である「中野サンプラザ」の再開発計画が、予想を超える建設費の増加という大きな壁に直面しています。当初の見積もりから900億円以上の工事費が追加で必要となり、大幅な計画見直しが避けられない状況です。
2023年7月に閉館した中野サンプラザは解体に向けて工事用フェンスが設置されていますが、1年以上が経過した現在も解体作業は始まっていません。
現在、毎月約2800万円の管理費用がかかっており、中野区はイベント利用による収入確保を計画していますが、今のところ具体的な収益確保の目途は立っていません。
費用の一部を事業パートナーである野村不動産に請求する案もありますが、基本協定書には野村不動産が全費用を負担する明確な規定がありません。
さらに、当初のパートナー企業であったヒューリックが途中で撤退したことなど、事業を巡る状況は複雑です。公開された資料からは、ヒューリックが工事総費の上昇を事前に把握し撤退した可能性が示唆されています。
特に注目されるのは、わずか2カ月で膨らんだ900億円という工事費増額の妥当性です。中野区も議会で詳細な内訳を把握していないと認めています。であるならば、事業許可申請の取り下げを認めた背景が不可解と言わざるを得ません。
また、事業の見直しにより住民負担が増加する可能性もあります。基本協定書には明確な費用負担の規定がないため、建設費増額分の負担についての議論が今後も続くと予想されます。区民の利益を守るため、透明性の高い議論と情報公開が急務です。
中野サンプラザ再開発の今後の展開は、大規模再開発事業のあり方を問う重要なケースとなるでしょう。今後の課題として、3つの論点を挙げておきます。
900億円の増額に関する詳細な説明と評価の検証 負担を軽減する具体的な解決策の提案と維持費軽減策の確立 より透明性の高い事業推進体制の構築
いま、区民の声に真摯に耳を傾け、身の丈に合った持続可能な開発計画への転換が求められています。計画が頓挫し、区民に負担が生じる可能性がある以上、一層の情報公開と丁寧な説明責任を果たしていくことが求められています。