古代史において、日本へ渡来してきたユダヤ人すなわち古代イスラエルの失われた十支族が日本人の祖先・ルーツであるという日ユ同祖論。賛否飛び交う議論が今日に至るまで展開されている中で、文化、言語、物品などからイスラエルと日本とに多くの共通点が存在しているという意見も多くなされている。
失われた十支族とは、旧約聖書に記されたイスラエルの十二支族のうち、行方知れずとなった十支族を指している。十二支族は、ユダヤ人の始祖アブラハムの孫ヤコブの12人の息子たちが形成した12の部族に由来しており、それら部族がダビデ王によって統一されイスラエル王国となった。
しかし、息子のソロモン王が没してまもなく、二支族からなるユダ王国と十支族からなる北イスラエル王国に分裂した。その後台頭してきたアッシリアによって北イスラエル王国が滅ぼされ、十支族は逃亡し姿を消したと言われている。
その十支族の中に、「ガド族」という部族が含まれているのだが、このガド族が皇室のルーツと関連しているのではないかという説がある。北イスラエル王国が滅んで十支族が姿を消した頃からユダ王国がバビロンに滅ぼされた紀元前722~584年までの間に、皇紀元年が成立しているということから、時期的には矛盾がないという意見がなされている。
そもそも、天皇を意味する「みかど」という語そのものに由来が残されているとも言われている。牧師であった小谷部全一郎によると、天皇を意味する「ミカド」という言葉は、もともと「ミガド」と発音されていたものであり、「御ガド」としてガド族にルーツがあると主張した。また、ラビ(ユダヤ教の聖職者)であるサミュエル・グリーンバーグによれば、「ミカド」はヘブル語で「ガド族出身」を意味しているとしている。
皇室のルーツに、古代イスラエル人が関連しているのではないかという根拠はこれ以外にもある。古代イスラエルには「アロンの杖」「十戒の書かれた石板」「マナの壺」という三種の神器が存在していたと言われている。これらが入れられた箱「アーク」が日本に眠っているという説も有名であるが、このうちの「マナの壺」に非常に酷似したものがあるというのだ。
大阪府堺市にある大山陵古墳、通称「仁徳天皇陵」は、第16代天皇である仁徳天皇を埋葬した古墳であると言われている。日本最大の古墳かつ世界最大級の墳墓とも言われるこの古墳は、その形状が鍵穴のような「前方後円墳」として知られているが、この形状が先述した「マナの壺」に似ているという指摘がある。
マナの壺は、砂漠を彷徨っていたモーゼ率いるイスラエルの民が飢えていた際に、神が天より降らせた「マナ」という食物を入れたと聖遺物であるという。そのマナは、どれだけ食べても減ることがなく民の飢えを癒したと言われている。実は、これにも似た話が仁徳天皇の説話に存在するのだ。
ある日、仁徳天皇が高い山に登って国土を見渡すと、民家から炊煙が立っていないことに気が付いた。みんなが貧しい思いをしているからに違いないと考えた仁徳天皇がその後3年間人々へ税を免除させると、あちこちから炊煙が立ち上るようになり人々は豊かに栄えていったという。「民のかまど」として有名なこの説話であるが、飢えから民を救ったという構造がマナの壺とも似ていると言える。 現在、宮内庁の意向によって内部の調査が許されていない仁徳天皇陵であるが、今後許された際に決定的な遺物が発見されることは果たしてあるのだろうか。
文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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