スタッフが横柄な態度になる理由
テレビ制作プロデューサーはいう。
「人止めや人よけをするのはテレビ局の人間ではなく、局の下請けのテレビ制作会社のAD(アシスタントディレクター)など一番下っ端のスタッフなので、モノの言い方を知らないスタッフが失礼な言い方をしてしまうことはある。ADはプロデューサーやディレクターから『ちょっと人止めといて』と言われて、止められないで収録が始められなかったり撮り直しになると怒られるので、その焦りから一般人に対して強い態度になってしまうこともあるだろう。
ここ数年は世間がテレビに抱くイメージが悪くなっているので、公道で撮影している際に『申し訳ございませんが、こっちのほうをお通りいただけますでしょうか』とお願いすると、舌打ちされたり、『マスゴミ』と言われるというのは日常茶飯事。食べ歩き番組で飲食店の店内で撮影する際にも、他のお客さんに『すみませんが、顔が映ってもよいでしょうか』と確認して、嫌だと言われて『あちらの席を移っていただくことは可能でしょうか』とお願いすると、『なんで私たちが移動しなければならないのか』という態度をあからさまに示されるが、向こうにしてみればテレビ収録のために行動の制限を受けたり指図される理由はないので、当たり前といえば当たり前でしょう。ロケをやっていると、いかにテレビが世間から嫌われてるのかがわかるが、一般人から毎日そういう態度を示されていると、いちいち下手に出てお願いするのがバカらしいと感じて気を遣うのをやめて横柄な態度になるスタッフもいるだろう。
また、バラエティや情報番組の場合は、人が多少映り込んでも問題ないが、ドラマの場合はしっかりと長時間にわたり人を止めたりしなければならないので、ドラマのほうが大変だとは思う」
かつてと比べると、テレビ制作側の姿勢はかなり低くなったという。
「20年くらい前は公道などで、まるで自分が警察官かのように『撮影中なので10分だけ通らないでください』などと言っていましたが、当時は一般人が文句を言おうと思ったらテレビ局に電話するくらいしか手段がなかったので、言われたほうは不満ながらも『仕方ないな』と諦めてくれていた。今はすぐにSNSで投稿されてネットニュースにでもなれば批判にさらされてしまう。なので、制作会社はテレビ局から『絶対に一般人とトラブルを起こすな』と厳しく言われて、かなり気を遣うようにはなっているし、極力、通行止めをしないように努めるようになってはいる。とはいえ、実際に人止めする制作会社の若いスタッフは低賃金で長時間働かされて疲労していることもあり、また人を止められないとディレクターなどに怒られるので、どうしても態度が悪くなってしまうことはあるだろう」(同)
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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