あのときこうしていたら…という「反実仮想」には意味がないが、あのとき渡辺氏が自民党を割って政権に入っていたら、あのとき首班指名で社会党が裏切らなかったら、石破氏や高市氏のような機会主義者がなだれを打って小沢政権に入り、自民党は二度と政権に戻れなかったかもしれない。
だが小沢氏の賭けが成功したのは、1993年だけだった。負け続けるギャンブラーについて行く人は少ない。石破氏や高市氏の仲間が自民党内に少ないのは、いつまた裏切るかわからないからだ。石破首相の記者会見では、さっそく今まで否定していた7条解散をやると宣言した。
小沢氏が31年前に出した改革案は、小選挙区制と消費増税以外は実現しなかった。それが今もすべて有効だというわけではないが、改革を先送りして財政バラマキや金融緩和などの「痛み止め」を打ち続けた結果、政府債務は膨張し、国民負担は激増し、成長率は低下し、日本経済は衰退途上国になってしまった。
石破氏と高市氏の「失われた31年」は、日本経済が衰退の坂を転がり落ちた時期と重なる。やるべき改革はわかっているのに、それはなぜ実現しないのだろうか。あす金曜から始まるアゴラ経済塾「日本経済は新陳代謝できるか」では、このような日本経済の隘路についてみなさんと考えたい(申し込みは受け付け中)。