人体は非常に柔軟で丈夫なので、減圧で膨張はするものの、爆発することはありません。
真空では人体が最終的に2倍にまで膨れ上がると言われており、その過程で臓器に致命的なダメージを与えます。
しかしそれらが瞬時に起こるわけでありません。
実際、真空に近い状態にさらされても生き残った人はいます。
1966年、NASAの技術者であるジム・ルブラン氏は、巨大な真空チャンバーの中で宇宙服のテストを行っていました。
ところがある時点で宇宙服のホースが外れてしまい、意識を失うことになったのです。
すぐに救助されたため、命に別状はありませんでした。
彼は、このときのことを振り返って、次のように述べています。
「意識を失う直前に唾液が泡立ち始めたのを感じた」
これは舌先の水分が沸騰したことを表しているのでしょう。
ちなみに2013年の調査によると、過去の例では、動物と人間は真空状態で10秒以内に意識を失うとのこと。
またそれが一瞬でも影響は大きく、膀胱や腸の機能が失われたり、膨張した筋肉が心臓と脳への血流を妨げたりしました。
レーンハート博士によると、「人間はこの膨張を生き残ることはできません。2分以内に死に至る可能性が高いのです」と述べています。
では血液もすぐに沸騰するのでしょうか?
そうではないようです。
人間の血管には外部よりも高い圧力が加わっているため、すぐに血液が沸騰することはありません。
血液が沸騰するとしたら、それはほぼ死にかけて血圧が大きく下がった場合でしょう。
宇宙空間では凍死するまえに窒息と膨張で死んでしまう
宇宙空間で人間が死ぬ要因は、膨張だけではありません。
真空状態では肺から空気が抜けてしまうため、数分で窒息してしまうのです。
では、人間が宇宙空間で凍り付いて死ぬことはあるのでしょうか?