零戦(零式艦上戦闘機)は、かつて日本海軍が技術者堀越二郎に依頼し設計された戦闘機である。防御と耐久性を犠牲にしながら、火力と航続距離そして運動性能に特化させた戦闘機として、大東亜戦争前半には数々の大きな戦果をもたらした兵器として知られる。
1940年の初陣の際、中華民国の空軍によるソ連製戦闘機27機を相手に無傷のまま撃墜させてその名を轟かせることとなり、日本の技術力を低く見積もっていた欧米に大きな衝撃を与える存在となった。だが、戦争後半になるにつれてその弱点を米軍などからつかれ、さらに零戦以上の性能を備えた戦闘機が開発されたことによって、徐々に零戦は一発被弾で炎上する「ワンショットライター」というスコア稼ぎの標的と揶揄されるようになっていった。
さて、戦争が終盤となり零戦が劣勢となっていた頃のこと、とある噂が米軍の中で囁かれるようになっていったという。それは、戦場に突如現れる「ホワイト・ゼロ・ファイター」と呼ばれる白い零戦の噂であった。
ある米軍艦隊が太平洋のウエーク島近郊海域を航行していた時のこと、空母のレーダーに多数の機影が映ったことで日本軍の攻撃と考えた米軍が戦闘機を出動させた。また、近くに空母があると想定したため、爆弾を積載した偵察機も複数飛ぶこととなった。
ところが、彼らがレーダーで示された地点へ到達しても、周囲には一機の戦闘機も見当たらないという奇妙な現象が起こっていた。するとその時、ある偵察機から「ゼロ・ファイター多数発見」と一報が入った途端に叫び声があがり、その偵察機からの交信は途絶えてしまった。この一報を受けた直後、発艦した戦闘機が一斉にその現場へ向かったものの、戦況は味方の圧倒的な劣勢であったという。
のちに、生還したパイロットの話によれば、その時に目撃した零戦は真っ白で日の丸も同様に白く、どこからともなく現れては味方の戦闘機が次々と撃墜するという考えられない挙動を見せていたそうだ。さらに驚くべきは、その零戦は攻撃によって窓ガラスが割れて多数の銃痕がウィングに残っているにもかかわらず全く墜落する様子は無く、何より零戦に搭乗していたパイロットは笑顔であったというのだ。
結果、白い零戦たちは損害が無く、米軍の爆撃機の多くは帰還を果たすことが無かった。その後、想定していた日本軍の空母も発見することができなかったこと、加えてあまりに異様な事態ということで、米軍はレーダーの故障および訓練中の事故として片づけるほかなかった。以来、米軍では白い零戦と遭遇した時には手を出さずに十字を切ってそのまま帰還することが暗黙の了解になったという。
この逸話は、旧海軍航空隊の生き残りとなったある人物が、捕虜になった際に米軍から聞いた話として伝えられるようになったものだと言われている。この他にも、日本軍が基地を置くラバウルにて航空機による戦闘が開始された際に謎の零戦部隊が敵を撃退し、撃退後その零戦が滑走路に入った瞬間轟音と風を残して消えてしまったのだという。隊員たちは、その零戦の尾翼の印から先日墜落した機体であるとわかり、英霊が戦ってくれたのだと皆涙を流したのだという。
零戦は迷彩色のイメージが強いが、当初は白もしくは白銀であったと言われている。先述したように、初期の零戦の猛攻は凄まじいものであり、そんな中でも坂井三郎といった撃墜王と称されたほどに並外れたパイロットの活躍も多数あったことが事実として残っている。白い零戦が本当に出撃していたか否かについては、もはや確かめるすべはないものの、こうした要素が白い零戦の脅威という形で噂が生み出されたという可能性は充分あるだろう。
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【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】
文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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提供元・TOCANA
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