高額療養費の引き上げニュースが流れています。報道が事実とすればとの前提ですが、この方向性は看過できないものです。

医療費上限の引き上げ検討、政府 自己負担、時期や幅が焦点に(共同通信)

>政府は、上限額を物価や賃金に応じて引き上げたり、年収が高い人に新たな上限額を設けたりすることを協議する。70歳以上が外来受診した際に負担額をさらに抑える特例も見直し議論の対象となる。

税金の控除(減税幅)は物価や賃金に連動して引き上げてこなかったのに、国民負担になるものは別とばかりの考え方。そして高額の保険料を収めている、年収が高い人を狙い撃ちでまた分断を招く手法。

なお、高額療養費の見直し自体には賛成です。ただしm我々が「医療維新」の中で提起しているのは、

>現行の高額療養費制度における70歳以上の月額の医療費負担上限額の見直しを行い、個々の経済状況に応じた負担上限額の設定を再検討する。

と、窓口負担と同様に過度に低く抑えられている70歳以上を対象としたもので、まずは9割引の窓口負担を含む高齢者医療制度そのものの見直しが先決です。

いつまで政府は高齢者・有権者からの反発を恐れ、高額所得者が対象などと隠れ蓑を使いながら現役世代に負担を先送りし続けるのでしょうか。

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あくまで現時点では報道ベースですし、共同通信の一報にも

「70歳以上が外来受診した際に負担額をさらに抑える特例も見直し議論の対象となる」

と書いてあります。オマケのような書きぶりですが、こちらこそまずは検討・実施するべき部分で、現役世代や高額所得者への負担増を先にやるのは優先順位が異なります。

政府与党内で現役世代の負担を減らし、制度の持続可能性を高める方向で検討が進むことを強く望みます。