この「自民党の内部から」的な自民党批判は、外部から見る人以外にも自民党支持者に対しても、一定の説得力がある。ようは内部にいて批判するのは気骨があると思われるのだろう。そして、マスコミ的にも都合がいい。
マスコミは伝統的に自民党が嫌いで、政権交代というドラスティックな社会変革にマスコミが活躍したと思われたい野望がある。だから、自民党内部から自民党批判をする石破茂は、マスコミが持ち上げるには格好の存在だ。
悪名は無名に勝るとは言うものの、国政は広く国民生活全般に影響する以上、投票率が低いとは言えど、衆院選について国民は少しくらいは真剣に投票に臨もうとするだろう。何せ、政権選択選挙なのだ。小選挙区で絶対的な支持を得ている石破茂は、今回の選挙でも早々と当確を出した。つまり、拙稿で何度も触れているように、選挙区で強いことが、彼の勘違いの元になっているのかもしれない。
石破茂が国政に残り続けることが、選挙区でも自分自身でも自民党内でも分かっているのだから、少なくとも選挙において石破茂に文句を言う自民党議員はいないだろう。選挙に強い政治家が良い政治家なのだ。いくら高邁な理想を語ろうと、正義感丸出しで聞いた風なことを語ろうと、落選すればただの人だ。特に衆院選の楚瑜選挙区においておやである。
マスコミは常に、次の総理候補に石破茂の名前を挙げる。公正な世論調査と言いながら、自分たちで世論を作り出して自分たちで調べるのだから、石破茂が上位に来るのは当たり前だ。何せ、オールドメディアの情報しか知らない人を相手に世論調査をするのだ。
いい加減、これまで石破茂を支持してきた人たちも、気づいたに違いない。地方の有権者や地元の有権者、メディアに出演した時、耳障りのいいことを言い続けてきた石破茂は、自民党の総裁になった途端、馬脚を表し、政治家としては大したことがないことがバレてしまった。
おそらく、最後の最後に石破茂を推した岸田前総理もその取り巻きも、石破茂の実力を知り、落胆しきりだろうと思う。これが、石破茂の裏切りか、とも思ったのではないだろうか?