携帯電話、とりわけスマホの普及により「自宅の固定電話」を処分した人は少なくないでしょう。とはいえかつて固定電話は「一家に一台、設置するのが常識」であり、固定電話を家や企業に設置するのは「社会的な信頼を得る」ために必要なことでもありました。すると固定電話は件数が減っているとしても、相当な台数が国内に存在している可能性もあります。

では「固定電話」の契約件数と「携帯電話」の契約件数はどれくらい違うのでしょうか?

詳しくは後述しますが、数字で見てみてもその数字の差は歴然。NTTの固定電話の契約数が1,324万件(2023年6月時点)である一方、携帯電話の契約数は2億2,186万件(2023年度末時点)となっています。より具体的に見ていきましょう。

国内の「携帯電話」の契約件数

意外と知らない「固定電話」の契約件数と「携帯電話」の契約件数はどれくらい違うのか
(画像=(画像は「photoAC」より引用),『オトナライフ』より 引用)

総務省が発表した「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 令和5年度第4四半期(3月末)」によると、2023年度末の携帯電話の契約数は2億2186万件。社用と私用など、ひとりで複数台を持つことも少なくなく、日本の総人口1億2,488万5,175人(2024年1月時点)と比べると、所持率は約177%となっています。

国内の「固定電話」の契約件数

意外と知らない「固定電話」の契約件数と「携帯電話」の契約件数はどれくらい違うのか
(画像=(画像は「photoAC」より引用),『オトナライフ』より 引用)

一方、固定電話の契約件数は、携帯電話とは対照的に減少傾向にあります。NTT東日本・西日本の固定電話契約数は2023年6月末で1,324万件。この10年で半数ほどに落ち込んでいます。 つまり、固定電話の契約数は携帯電話の契約数の約5.97%となっています。

最盛期の固定電話の契約件数は何件だったの? 固定電話契約数の最盛期は1997年11月。6,322万件がピークでした。多くの家庭で固定電話が主要な通信手段として使用されていました。しかし1997年以降、携帯電話及びスマホの普及により、固定電話の契約件数は徐々に減少。NTTの島田明社長は契約数について「毎年150万ずつ減っている」と明かしています。

固定電話はもう不要?

すでに普段の連絡の中心が「携帯電話」であるならば、固定電話は解約しても問題ないかもしれません。

意外と知らない「固定電話」の契約件数と「携帯電話」の契約件数はどれくらい違うのか
(画像=(画像は「ソフトバンク」公式サイトより引用),『オトナライフ』より 引用)

アナログ回線の固定電話の場合、月額基本料金は約1,760円。解約すると年間で21,120円もの金額が浮くことになります。また、ソフトバンクの「おうちのでんわ」などの割安サービスの場合でも月額基本料金は1,078円(ソフトバンクユーザーの場合は550円)。こちらも解約した場合、年間では約1万3,000円の節約となります。

ユニバーサルサービスとしての「固定電話」の意義は何か?
とはいえNTTは「NTT法」に基づき、固定電話を「ユニバーサルサービス」として提供し続ける義務を持っています。ユニバーサルサービスとは、国民生活に不可欠なサービスを、誰もが利用可能な料金で、あまねく日本全国において公平かつ安定的に利用できるようにすることを目的としたもの。固定電話は、この観点から見ると、特に過疎地域や高齢者にとって重要な通信手段であり、緊急時の連絡手段としても信頼性が高く、停電時でも使用できる(※アナログ電話の場合)というメリットがあります。

つまり仮に固定電話の件数が大きく減少傾向にあっても、NTTにとっては「ユニバーサルサービス」を保持し続ける必要があります。そのため今後、さらに固定電話が減少した場合「ユニバーサルサービスとしての通信は、携帯電話中心に再設計すべきではないか」という議論が活発化し得るでしょう。

文・ オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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