トヨタとスズキは2024年10月30日、両社の協業を発展させ、スズキが開発するSUVタイプの電気自動車をトヨタにOEM供給することを決定した。
新開発のEVは、インドのスズキ・モーター・グジャラート社で、2025年春から生産開始予定とされており、このモデルをトヨタのOEMモデルとする。
今回の協業は、両社のOEM供給における初のEVとなり、この新型EVは世界各国で順次販売を開始するとしている。
スズキ、トヨタ、ダイハツの3社でのEVプロジェクトは、EV軽商用バンを共同開発し、2024年~2025年に市場投入する計画が進んでいた。このEV商用バンの生産はダイハツが担当することになっていたが、ダイハツの認証試験不正問題で市場投入は延期されている。
また、内燃エンジン車ではスズキのインド工場での生産したモデルをトヨタOEMモデルとしてインド、アフリカなどで販売しており、両者の関係は浅くない。
今回のスズキが開発、生産するEVは、EVユニットとプラットフォームは、スズキ、トヨタ、ダイハツ社の3社がそれぞれの強みを活かして共同開発したとされているが、内容的にはスズキのEV用HEARTECTプラットフォーム、スズキの内製e-アクスルを採用。そして車載バッテリーも、インドで調達され、今後はスズキのインド・グジャラート州のバッテリー工場で生産される計画になっている。
新EVは、必要充分な航続距離と快適なキャビンを両立したBEV専用設計モデルであり、EVらしいキビキビとしたシャープな走りが特長のSUVとされ、悪路走破性を備え、パワフルな走りを提供するe-4WDシステムも設定している。
この新型EV「eVX」プロトタイプは、2023年1月のインドの国際オートエキスポで初公開され、同年秋のジャパン・モビリティショーでも公開されている。
「eVX」は、全長4300mm、全幅1800mm、全高1600mmのCセグメントのSUVで、2025年までに市販化を計画しているスズキのEV世界戦略車の第1弾となる。バッテリー容量は60kWhと発表され、500km程度の航続距離を目指している。
この「eVX」はインド、ヨーロッパをメイン市場としながら日本を始め、順次市場を拡大する計画になっている。
このプロジェクトにトヨタが加わり、トヨタOEMモデルも生産・販売されることは、トヨタ、スバルの共同開発による「bZ4X/ソルテラ」とよく似た背景がある。つまりトヨタが開発費を一定割合で負担することで、スズキは開発費の軽減となる。またトヨタも低い開発負担コストでEVのバリエーションを拡大することができるわけだ。
また、トヨタでは実現できない、より低コストのEVであることが想定され、トヨタのエントリークラスEVとしてラインアップできるメリットもある。
提供・AUTO PROVE
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