あらゆる面で自前主義

 前述のとおり小売企業としては高い営業利益率を誇る「しまむら」の経営面での特徴とは何か。

「『しまむら』のような常に格安販売をするEDLP(エブリデー・ロープライス)型の企業は、あまり値下げをしませんが、それでもシーズン末期に売れ残った商品を売り切るためなどに値下げをしなければならないケースもあり、一定程度の値下げロスが生じてしまいます。同社はさまざまな施策によって、その値下げロスを低く抑えられるようになってきていると聞きます。

 また、『しまむら』の経営的な特徴としては『会社も人も買わない』という方針を掲げ、物流システムなども含めてあらゆる面で自前主義を貫いている点があげられます。そのため、基本的には社員の中途採用を行わず、2~3年のスパンで部署を異動するジョブローテーションを行っています。それを実現可能にしているのが社内の業務マニュアルの存在です。常に社員が改善提案を行い、マニュアルの内容が更新・追加されていき、部署が変わってもマニュアルを読めば業務を行えるようになっています」(磯部氏)

 では、689万2000円という「しまむら」社員の平均年収をどう捉えるべきか。

「どう評価すべきかは非常に難しいですが、全上場企業約3800社の23年度の平均年収は651万円なので、それより少し上ということになります。また、以前から重労働かつ低賃金というイメージを持たれているアパレル業界の平均年収は350万円ほどだといわれているなかで、この水準の年収を出しているというのは、業界のリーディングカンパニーであるという『しまむら』の自負の表れであるとも感じます」(磯部氏)

(文=Business Journal編集部、協力=磯部孝/ファッションビジネス・コンサルタント)

提供元・Business Journal

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