この限界を突破するには、歯車とモーターの役割を一体化させ、エネルギーを注入された歯車自体が回転力を生み出せるような仕組みが不可欠です。
「そんなのは無理だ」と思われるかもしれませんが、そうでもありません。
たとえば歯車の形を工夫して風車のように外部からのエネルギーを直接回転力に変換する仕組みを作れば、始点となる歯車自身が回転力を発揮することが可能です。
(※風力発電では向かってくる風を、風車を使って横方向の回転力に変換しています)
ただマイクロサイズの世界では、風力はあまりアテにできません。
風力は方向のコントロールが難しく、すぐに分散してしまうからです。
そこで今回、ヨーテボリ大学の研究者たちは「風の代りに光を受けて回転する歯車」を作ることにしました。
メカニズム:風の代りに光を受けて回転する歯車
「風の代りに光を受けて回転する歯車」
このアイディアを実現するため研究者たちはまず、風車の羽にあたる部分を作りました。
風車の場合、正面からくる風を羽が特定の方向に偏向させて受け流すことで、回転力に変換します。
一方で光を受けて回転する歯車の場合は、正面からくる光を特定の方向に変化させる仕組みを備えていました。
実験では、この傾きを生み出すために特殊なシリコン(アモルファスシリコン)が使用されました。
たとえば上の図では、上から降り注ぐ光がアモルファスシリコンによって偏向して右方向へ排出される様子が描かれています。
このときアモルファスシリコン部分では反作用によって左側に押されることになります。
光は質量を持ちませんが、エネルギーと運動量をもつために、物体に対して押す力を発揮できるのです。