公的には国際競争の観点からの措置とされているが、すでにこれらの企業の一部は、中国軍関連企業として米国のブラックリストにあげられている。これらの企業が中国政府や中国軍と結託して情報を流しているとの懸念があるのだろうが、真相は闇の中だ。当然ながら、BGIグループは、中国政府・軍との関連性を否定している。

ゲノム医療が進む中で、ゲノムシークエンスは巨大なマーケットになる。シークエンス技術・機器・試薬は国策として重要になってくる。まさに、バイオ産業を巡る国家間競争の様相を呈している。

日本でも数年前から、ゲノム情報の流出が問題視されているが、問題が起きない限り、大きな議論の対象とはならない。人工知能もそうだが、この国は国家的なビジョンなく、場当たり的な対応がなされ、対策が常に後手後手に回っている。本来1キロメートル先に視点を置いて踏み出す方向を考えるべきだが、ゴールの方向を見定めずに足元だけを見て1歩・2歩・10歩と間違った方向に進んでいるので、だんだんとゴールが遠のいているようだ。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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