もうけは再エネが取り損害は電力会社に押しつける

再エネの変動をカバーする大手電力会社の損害は「統合費用」には入れるなという。天気がよくてもうかるときは新電力(再エネ)がもうけ、電力会社は火力を止める。天気が悪くなったら新電力は電力会社から電気を買うが、そのとき火力を止めた損害は負担しないというのだ。これは規制改革と称する新電力への利益誘導である。

原氏はまさかLCOE(均等化発電原価)の意味を知らないわけではあるまい。これは(固定費+変動費)/総発電量だから、分母の総発電量が減るとコストは上がる。たとえば再エネ優先で火力の稼働率が50%に落ちたらコストは2倍になるので、採算の取れない発電所は廃止されるだろう。

そのとき新電力は、それをバックアップする発電所を建てるのか。それとも天気が悪くなったら停電するにまかせるのか。そういう安定供給を保障するために容量市場が設置されたが、河野規制改革相や再エネTFはこれにも「新電力の負担増になる」と反対している。それは本当は再エネのコストが高いからだ。

日本の電力自由化は失敗だった

日本の面積あたり再エネ発電量はすでに世界一で、もう適地が残っていない。蓄電やバックアップなどのシステム統合費用を算入すると、図のように再エネの比率が上がるとそのコストは発散する。

カーボンニュートラルを再エネ最優先で実現する電力コストは2倍、再エネ100%にすると4倍以上になるというのがRITEの計算である。

このように統合費用を勘案しない低価格がつけられるため、古い火力が退役し、総発電量が減ったことが電力危機の原因である。これから火力や原子力などのベースロード電源が減ったら、停電が頻発するだろう。

それは電力自由化で電力供給を効率化するコストだが、電気代は1.5倍になった。日本の自由化は失敗だった。電力供給が不安定な国からは自動車メーカーも鉄鋼メーカーも出て行くので、雇用は失われるがCO2の排出量は減る。それが日本が「脱炭素化」する最短の道である。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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