シカゴ大学のハンス・シュライバー教授と一緒に、マウスモデルで、このがん特異的T細胞受容体遺伝子を導入したT細胞が完全にがんを殺すことを報告してきた。もちろん、人の患者さんに応用することを目指してきたのだが、日本ではネオアンチゲンという概念がようやく市民権を得るようになりつつあるレベルだ。

ネオアンチゲンワクチン療法の数歩前を行くネオアンチゲン特異的T細胞受容体遺伝子導入T細胞療法など、日本で試みるのは夢のまた夢だ。しかし、海外では確実に進んでいる。今回の論文には7例の進行大腸がん患者さんに試みた結果が報告されている。7例中3人でがんの縮小が見られたとのことだ。細かいことは省くが、日本の評価制度を劇的に変えない限り、日本の競争力は低下の一途だ。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。