謎の失踪を遂げた科学者は今どこにいるのか。彼がいるのは長年研究していた“マトリックス”の世界なのだろうか――。

■謎の失踪を遂げた精神生理学者

 我々が見ている現実は真の現実のほんの一部分に過ぎないとすれば、何らかの方法で常人には見えない領域に移動することができるのだろうか。

 1946年にメキシコシティで生まれたヤコブ・グリンバーグ氏は、12歳の時に母親が脳腫瘍で亡くなった時、人間の心を研究しようと決意したと伝えられている。

 メキシコ国立自治大学(UNAM)で心理学を学んだグリンバーグ氏は卒業後に米ニューヨークで精神生理学(psychophysiology)の博士号を取得した。

彼は“マトリックスの世界”に生きているのか…ある科学者の謎の失踪
(画像=ヤコブ・グリンバーグ氏 「Daily Star」の記事より、『TOCANA』より 引用)

 メキシコに戻った彼はアナワク大学に精神生理学の研究室を設立して、本格的な独自の研究に取り組み、脳科学、魔術、シャーマニズム、テレパシー、瞑想に関する50冊以上の本を執筆した。

 グリンバーグ氏が科学的分野をシャーマニズムや魔術と組み合わせはじめたとき、彼の科学者としての評判は微妙なものになったといわれている。グリンバーグ氏によれば、我々はある種の“マトリックス”の世界に生きているというのである。

 1994年12月8日、48歳の誕生日のわずか数日前に、グリンバーグ氏は謎の失踪を遂げ、それ以来行方不明になっている。放浪癖のあるグリンバーグ氏であっただけに、家族は当初心配していなかったということだが、いつになっても戻って来ることはなかった。加えてそのちょうど1年後、彼の2番目の妻であるテレサもまた謎の失踪を遂げた。

 グリンバーグ氏の失踪は、ある意味では予想通り、実際に何が起こったのかを詮索するあらゆる“陰謀論”を引き起こした。

 CIAによる誘拐説、エイリアン・アブダクション説といった説に加えシャーマニズムと意識の探求に没頭しすぎて、別の次元に滑り込んでしまったという説など突飛なものまでまことしやかに語られた。

 グリンバーグ氏の理論では、現実はエネルギーの連続空間(マトリックス)であり、一般の人間はその一部しか知覚できないとされている。しかし我々の心の持ちようで知覚できなかった側面を観察できるようになるだけでなく、より能動的にマトリックスにアクセスできるという。

彼は“マトリックスの世界”に生きているのか…ある科学者の謎の失踪
(画像=画像は「Pixabay」より,『TOCANA』より 引用)

 とすればグリンバーグ氏は我々が知覚できないマトリックスの領域に自ら入り込んでいったのだろうか。

 ニューメキシコ州のガソリンスタンドの従業員が目撃した可能性があるのみで失踪日以降、今に至るまでグリンバーグ氏は目撃されていない。しかし我々には見えていないだけで、グリンバーグ氏は今も我々のすぐそばのマトリックスにいるのかもしれない。

参考:「UNILAD」ほか

文=仲田しんじ

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提供元・TOCANA

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