ジョー・バイデン大統領はどこかの時点でAIが“替え玉”となったのか――。次期大統領選から撤退したこの時期になぜか“バイデン生成AI説”が浮上しているようだ。
■SNSで蔓延する“バイデン生成AI説”
2023年7月21日、バイデン大統領はホワイトハウスのルーズベルト・ルームで「私はAIだ」と宣言し、周囲を笑いに包む一幕があった。
他愛もないジョークであったのだが、この一件以降、バイデンが何らかの形で人工知能に置き換えられたと主張する“陰謀論者”が増えていることは事実であるようだ。
たとえば「New York Times」の先日の記事によれば、オンラインの誤情報を監視している「NewsGuard」社は、バイデン大統領がコロナ療養中に死んでいる可能性がある、あるいは死期が近いという考えを7月に共有したXの19の著名なアカウントを特定した。
「NewsGuard」によると、Xでのバイデンに関する会話で「死んだ」または「死亡した」という言葉が使われた投稿は、1週間で約50万件の言及と400万件以上の引用があった。陰謀論を広める最も人気のある投稿のうち2件は、合わせて8500万回以上閲覧されているという。
こうした“陰謀論者”の多くははコロナ療養後に復帰したバイデンはディープフェイク動画、AI生成音声、3Dホログラフィックなどを駆使した“バイデン生成AI説”を吹聴している。
この種の“陰謀論”は今年6月のトランプ氏との討論会でバイデン氏のパフォーマンスが広く批判された後、より注目が高まった。
バイデン氏が選挙戦から撤退するよう求める声が高まる中、同氏はテレビ番組のインタビューに応じたのだが、あるTikTokユーザーは「これはバイデン氏ではない」とすぐに主張し、動画にコメントした2000人の投稿者の多くが同意している。
その数週間後、選挙戦から撤退したバイデンはコロナ療養中だったが、カマラ・ハリス副大統領との選挙イベントに電話で参加した。すると懐疑論者がすぐに現れてX(旧Twitter)にビデオを投稿し、バイデンの通話音声はすべて偽物で、ElevenLabsが提供する音声複製ツールで生成されたと主張したのだ。このビデオは800万回以上視聴されたが、その後のファクトチェックによってこの主張が誤りであることが確認されている。
さらに数日後、バイデンがコロナ隔離期間を終え、国民に向けて演説を行ったとき、陰謀論者はこれも明らかにAIの産物だと主張し、バイデンの肌がオレンジ色であることを指摘したのだ。
偽情報の理論家や研究者は、強力な生成AIツールが世界に与える影響について懸念を深めている。特に国家のリソースを背景にした“ロボット軍団”が登場した場合、誰がテキストや音声やビデオの信頼性を評価できるのだろうか。
そして「Ars Technica」の記事によれば、生成AIが登場した今日、こうした捏造や欺瞞の“犯行”の濡れ衣をAIに着せるトレンドが生まれる可能性も懸念されてくるという。確かに真の“首謀者”にとって生成AIは格好の隠れ蓑になるのかもしれない。
はたして今後さらにフェイクニュースや生成AI画像や動画がSNSに溢れかえる事態を迎えることになるのだろうか。“バイデン生成AI説”を牧歌的に懐かしむ未来が来ないことを願いたいものである。
参考:「Ars Technica」ほか
文=仲田しんじ
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提供元・TOCANA
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