自民党総裁選で注目の小林鷹之氏の記者会見を聞いた。得意の経済安全保障については淀みなく答えたが、社会保障改革の話には中身がなく、選択的夫婦別姓ついての答は曖昧だった。

「旧姓」は海外では意味がわからない

彼はかねてからアンケートなどには選択的夫婦別姓に「反対」と答えているが、今回は賛否を答えなかった。その代わり「不便な人は旧姓併記できると周知徹底する」と述べたが、これは答になっていない。

たとえばパスポートには旧姓が併記できるようになったが、この写真の()の中の名前は海外では意味がわからない。

このごろアメリカのホテルではセキュリティがうるさいので、パスポートの名前がおかしいとチェックインできない。

 ホテル「あなたはGAIMUさんですね?」  客「はい」  ホテル「あなたの名刺にはSMITHと書いてありますが、ご本人ですか?」  客「それは旧姓というんです」  ホテル「そんな二重の名前はアメリカの法律で認めていないので、利用はお断りします」

本人確認ができないと、なりすましや犯罪の温床になるので、格式の高いホテルは断るだろう。

二重のIDは経済安全保障の脅威

こういうトラブルは在日韓国人の「通名」でもよく起こるので、外務省は旧姓併記を認めなかったが、「夫婦同姓を強制しても旧姓併記すればいい」という高市早苗氏などの政治家の要請で2020年に認めた。

経済安全保障のエキスパートである小林氏なら、政府が二重のIDを認めることがいかに危険か、わかるはずだ。半導体の分野でも、中国や台湾などと人の往来が増えている。犯罪者が旧姓併記を悪用して別人になりすますと、その追跡は困難になる。