年内にも最初の運用が行われるとアナウンスされていた“安楽死カプセル”のボタンが遂に押されたようだ――。
■物議を醸す“安楽死カプセル”が遂に初運用
トカナの過去の記事でもお伝えした「サルコ(Sarco)」と呼ばれる“安楽死カプセル”が先日、スイスで初めて運用されたことが報じられている。
サルコを使用して死亡した匿名のアメリカ人女性(64歳)は女性は「激しい痛みを伴う非常に深刻な病気」を患っていたと伝えられている。
スイスでは1942年以来、幇助者が「利己的な」理由で行わない限り、幇助による自殺が合法となっている。しかし今回、スイス警察は関係者数人が拘束し検察が自殺教唆および自殺幇助の疑いで捜査を開始したと発表した。
酸素カプセルのような外観のサルコに入った者は、致死量の窒素を投与され「痛みのない」ガス窒息で自ら命を絶つことが可能となる。
カプセルに入った当人は「あなたは誰ですか? どこにいますか? ボタンを押すと何が起こるか知っていますか?」などの質問が行われ、意志が確認されてからボタンを押すことになる。このプロセスがあることから開発者と運用者はスイス国内であれば合法だと考えていたようだが、警察は見逃すわけにはいかなかったようである。
サルコを開発したオーストラリアの安楽死推進者で元医師のフィリップ・ニッチケ氏は“ドクター・デス”としても知られ、自発的安楽死キャンペーン「エグジット・インターナショナル」の代表でもある。
実はニッチケ氏が作った装置で自殺が行われたのが今回が初めてではない。
致死量のバルビツール酸が込められた注射器がノートパソコンを操作している間にユーザーの腕に注入されて死に至らしめる「デリバランスマシン(Deliverance Machine)」は、1996年9月に4人の末期患者によって使用され自らの命を絶つ手助けをしている。
ほかにも睡眠薬で眠っている間に首を絞めつけて窒息死させる「エグジットバッグス(Exit Bags)」や、フェイスマスク型の一酸化炭素吸入装置「Co-Genie」なども実際に作られており、氏の創意工夫には驚かさせるばかりだ。
安楽死を手助けするニッチケ氏らの活動は一部から激しく批判されている。
イギリスにおける安楽死と医師による自殺幇助の合法化に反対する団体「Care Not Killing」のジェームズ・ミルドレッド氏は「多くの人が、この装置は自殺を軽視し、さらには美化していると感じている。私たちは、自殺は善良な社会がどんな状況でも防ごうとする悲劇だと考えている。生命を破壊せずに人間を助ける倫理的な方法がある」とニッチケ氏らを非難する。
“安楽死カプセル”が実際に使われたことで、安楽死をめぐる議論はますます紛糾しそうだ。
文=仲田しんじ
提供元・TOCANA
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