高市候補の自民党総裁選敗北

高市早苗候補は9月27日の自民党総裁選決選投票で石破茂候補に逆転負けを喫した。

1回目の投票では、高市181票対石破154票だっただけに、決選投票での石破215票対高市194票での逆転負けはさぞ残念であろう。

決選投票前に演説をする高市早苗氏NHKより

高市敗因の分析

高市敗因としては、首相としての靖国参拝問題など右傾化による対中・対韓・対米関係悪化への懸念が指摘される。この指摘は是認できよう。靖国参拝については、首相としては国益の観点から柔軟な対応が求められよう。日本国の国益は首相個人の感情よりも最優先されなければならないからである。

しかし、直接的敗因は最終演説の失敗である。石破の演説は迫力があり力強く説得力があった。特に高市のパンフレット郵送問題を批判する「ルールを守る自民党」の主張と「全員当選を目指し全身全霊を尽くす」との演説は力強く説得力があった。多くの議員の共感を得たに違いない。

これに対し高市の演説は迫力がなく著しく説得力に欠けるものであった。歴代総裁に対する感謝の言葉や公明党に対する配慮の言葉は全く不要であった。何よりも総裁として全員当選を目指す力強い決意表明がなく、総選挙がまじかに迫るだけに致命的なミスである。

さらに言えば、日本初の「女性首相」として、日本をどのように導いていくかの斬新なビジョンもなかった。これでは多くの議員の共感は得られまい。

演説能力の強化が不可欠

筆者は同じ神戸大学法学部卒業生として神戸大学経営学部卒業の高市氏を支持するが、演説能力の強化が不可欠である。例えば、裸一貫のナチスドイツヒトラー総統の台頭は演説能力の才能によるものである。その迫力と説得力と共感力に富む演説は大衆を魅了した。

筆者は8月10日兵庫県での超満員の「高市早苗総決起集会」に参加したが、細かい政策論ばかりで迫力のある力強い決意表明が乏しかった。