今年7月末、中国のSNS・微博(Weibo)で、とある奇妙な動画が拡散され、大きな話題を呼びました。
この映像は中国東部にある杭州動物園で撮影されたものですが、そこにはなんと2本足で真っ直ぐ立って、来園者に器用に手を振るクマの姿が映されていたのです。
これを見た多くのユーザーからは「飼育員が着ぐるみを着て仮装しているのではないか」と疑惑の声が上がりました。
しかし動物園側は「これは正真正銘、本物のクマであり、人々はこのクマのことを理解していないのです」と公式に回答しています。
なぜこのクマは人間のように直立して手を振っていたのでしょうか?
着ぐるみ疑惑が持ち上がった実際の映像
まずは話題になった実際の映像を見てみましょう。
This is a real bear, not a human dressed in costumes! A four-year-old Malayan sun bear named Angela in a Hangzhou zoo went viral on China’s social media as a video showed the world’s smallest bear standing upright and waving to tourists just like a human. pic.twitter.com/Azv2tTVJhv
— Yicai 第一财经 (@yicaichina) August 1, 2023
2本足で立つ姿にぎこちなさは微塵も感じられず、手の振り方も私たちとそっくりです。
これでは確かに「着ぐるみだろ!」と疑いがかけられてもおかしくありません。
また人々が着ぐるみという疑念を抱いていることにも理由があります。
実は以前、中国のあるパンダ保護区で、飼育員がパンダのストレスを軽減させるために、代わりに着ぐるみで仮装したことがあったのです。
それも手伝って、この議論はWeiboでトレンド入りし、数百万もの閲覧数を集めたため、杭州動物園も公式サイトで声明を出すことにしました。
ではマレーグマはなぜ着ぐるみの人間と間違われるほど、器用に二本足で動けるのでしょうか?
ここからは今回の騒動に関する専門家の意見も交えて、マレーグマがどんなクマなのか解説していきます。
世界最小の「マレーグマ」とは?
動物園によると、このクマは「アンジェラ(Angela)」という名前の4才のメスで、種としてはマレーグマ(学名:Helarctos malayanus)に属します。
マレーグマは東南アジアの森林を原産地とする世界最小のクマです。
グリズリーやホッキョクグマといった他の大型種が後ろ足で立ち上がると3メートル近くに達しますが、マレーグマは大人でも最高で1.3メートルの高さしかありません。
全体のサイズもだいたい大型犬くらいのものです。
一方で、舌の長さはクマの中で最も長く、30センチに達します。これはミツバチの巣からハチミツを取り出すために進化したとのことです。
野生のマレーグマは他に昆虫や果物を食べています。
では、マレーグマのアンジェラが2本足で器用に真っ直ぐ立ったのは、どういう理由からだったのでしょうか?