なんだか最近あの人と良く目が合うな。
そんなことから相手の好意を感じる事があります。
しかし例え目が合わなくても、相手の視線が自分のどこへ向いているかで好意を判断できるかもしれません。
米カンザス大学のオムリ・ギラート氏(Omri Gillath)らの研究チームは、視線で相手への恋愛感情の有無を判断できるのかを調べています。
彼らは参加者に異性の全身を写した画像を観察、そして友人あるいは異性目線からの魅力度を評価してもらい、その時の視線の動きを記録しました。
実験の結果、男女ともに「この人と付き合いたい」と考えた人は、相手の頭や胸などの身体の上部へ注目するのに対し、「この人の友人になりたい」と思った場合は相手の足もとなど下半身に視線を向ける傾向があったのです。
この結果は、他者にどんな役割を求めているかによって、人は異なる観察方法を取っている可能性を示唆しています
研究の詳細は、学術誌「Archives of Sexual Behavior」にて2017年7月6日に掲載されました。
相手の目線から好意を見抜くことはできるのか
読者の皆さんは相手が自分に気があるかを判断する方法を知っていますか。
視線によって相手からの好意の有無を判断する人もいるのではないでしょうか。
目がよく合うから好かれているに違いない、一方で全く目が合わないから嫌われているなど、果たしてこの方法は正しいのでしょうか。
「Archives of Sexual Behavior」に投稿された、米カンザス大学のオムリ・ギラート氏(Omri Gillath)らの研究チームは、視線で相手への恋愛感情の有無を判断できるのかを調べています。
実験には大学生105名が参加しました。
参加者は眼球運動をトラッキングする機械を装着したうえで、異性の全身を写した画像を10枚ずつ観察し、友人目線あるいは異性目線からの魅力度を評価してもらっています。
具体的には友人目線であれば「この人と友人になれるか」や「友人としてどれくらい深い中になれるか」と考えながら評価を行うための観察を行っています。
分析では友人・異性として魅力度を評価する際の視線が、身体のどの場所に注意が向きやすいかを調べました。
実験の結果、男女ともに「この人と付き合いたい」と考えた人は、相手の頭や胸などの身体の上部をよく見る傾向が確認されました。
一方で「この人の友人になりたい」と考えていた場合は相手の足もとなど下半身に視線を向ける傾向がありました。
これは下半身に視線を向けるようになったというよりも上半身への関心が薄れ、下半身にも観察の時間が比較的多くの時間が割かれた可能性が考えられます。
また胸やお尻、腰、太腿などの身体の中心部への視線が多い人は、相手に恋愛・友情の両側面において関心を向けていたことも分かっています。
相手の顔を見る傾向は過去の研究でも多く報告されており、また男性が女性を見るときの特徴として相手の胸や腰に目が行く傾向があることは分かっていました。
研究チームは「他者にどんな役割を求めているかによって、人は異なる観察方法を取っている」と述べています。
もしかすると自分に対する相手の視線が上半身に集まっている場合には恋愛対象として、そうでない場合は恋愛対象外として認識していると考えることができるかもしれません。
しかしなぜ友人・恋愛対象としての目線で違いが生じるのでしょうか。
進化の観点から考えると、恋愛対象としての相手の魅力度を評価する際に優秀な子孫の残す可能性が高い、健康的で知能が高い個体を選ぶメカニズムに基づいて観察を行っている可能性が考えられます。
たとえば女性であればウエストのくびれやバストの大きさが安全な妊娠の目安になり、男性であれば肩回りの筋肉の多さが健康のシグナルとして機能し、異性から魅力度が高く評価されることが分かっています。
これらの情報は友人の関係性であれば、恋愛対象を選別する場合と比較して、重要性が低くなり、特別注意を払う必要はありません。
それ故、相手との関係性で魅力度を判断する際の観察パターンに違いが生じたのでしょう。