黒坂岳央です。
老後に備えて貯めた金融資産は80歳を超えても1-2割程度しか減少していないという、という衝撃の記事が日経新聞に掲載された。
【日経特報】ためた老後資産、85歳過ぎても減少1割 長生きで節約志向Is1DOfTUl
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) July 28, 2024
アメリカで大ベストセラーになったDIE WITH ZEROという書籍があり、消費が旺盛なアメリカ人でも似たような状態が起こっており、「いかに若い時期にお金を有効に使うか?」という議論が広がったことがある。この記事はその日本版だ。やはり、節約、節制志向の日本人は状況はより顕著だったようである。
なぜ老後にお金を使えないのだろうか?
意欲と体力がない人間は加齢とともにお金から引き出す力が失われていく。それは主に2つの理由によるものだ。
1つ目は意欲だ。人間の脳は記憶力や計算能力が加齢で衰えるという印象がある。しかし、真っ先に衰えるのは感情や意欲を司る前頭葉だ。前頭葉が萎縮すると、感情が抑えられなくてみっともなく人前でブチ切れる「感情失禁」を起こしたり、逆に無気力で枯れてしまう。前頭葉の萎縮を止める一番いい方法は仕事や読書ではなく、「新しい挑戦」である。
しかしもう1つの理由がそれを阻む。すなわち、体力の衰えだ。新しい挑戦をするために、たとえばこれまで行ったことがない地球の裏側へ長期滞在をしてみようと考えても、長期フライトや異文化に耐えるだけの体力がないのだ。体力はすべての行動の源泉であるが、その体力がなければ新しい挑戦はできない。
老化するとお金を使えない。いや、使うだけの力がないのだ。