JR東日本が“撮り鉄”の迷惑行為を減らすために作成した広告が、「JRがマナー問題に本腰を入れ始めた」と話題を呼んでいる。一方で、「あまり効果ないような気がする」と、効果に疑問を投げかける人も少なくない。そこで、JR東日本に今回の広告の意図について話を聞いた。
鉄道写真の愛好家である“撮り鉄”をめぐっては、線路や私有地への無断侵入のほか、一般道路をふさぐような迷惑駐車、私有地で勝手に草木を伐採、ホームで三脚を立てるなど駅構内で他の利用客の邪魔になる、といった迷惑行為がたびたびニュースとなっている。
もちろん、線路に勝手に立ち入れば鉄道営業法に抵触する可能性があり、迷惑駐車は道路交通法に違反する可能性がある。ほかにも、私有地に無断で入る行為は住居侵入罪、樹木を勝手に伐採すれば器物損壊罪が成立する可能性があるなど、単なる迷惑行為にとどまらず刑法犯罪が成立しうる例もある。
今年も3月には栃木・大田原簡裁が、2023年6月に寝台列車「カシオペア」を撮影するために線路内に立ち入った男2人を鉄道営業法違反罪で略式起訴し、それぞれ科料9000円の略式命令を出した。また、同月には鳥取県内の駅で男が特急「やくも」の先頭車両に抱きつくような画像がネット上に出回り炎上した。
後を絶たない撮り鉄の迷惑行為を受け、各鉄道会社は対応に苦慮している。4月には銚子電鉄が撮り鉄に対し、こう呼びかけた。
「【撮影マナーをなぜ守っていただけないのでしょうか】 伐採やキロポストの抜き取り、警告看板の位置移動などの迷惑行為が発生し、警察に被害届を提出しています。列車の運行に支障がでたり、他の方に迷惑がかかることを看過できない為、誠に遺憾ですが警察と連携し、取締まりを強化せざるを得ません」
これまでに他の鉄道会社も、撮り鉄にマナー改善を求めるポスターや動画を公開し、ネット上でたびたび注目を浴びるケースはあったが、実際に迷惑行為が減ったとの声は聞かない。そんななか、JR東日本が撮り鉄に向けてマナー向上を訴える広告を出し、話題になっている。
JR東日本といえば、国内にとどまらず世界でも最大規模の鉄道会社である。鉄道マニアたちにとっても垂涎の列車を数多く保有しており、それに比例して撮り鉄による迷惑行為も数多く話題に上る。
それだけに、JR東日本の“撮り鉄対策”は、利用客のみならず他の鉄道事業者にとっても関心が高いのではないだろうか。