百貨店の深夜の員の仕事に就いたという人が、SNS上に「仕事はラクで給料もそこそこ」「天職に巡り会えた」「わずらわしい人間関係もない」と投稿し、一部で話題を呼んでいる。そのような実態はあるのか。元清掃員の経験談などを交え追ってみたい。
幅広い業界で人手不足が進みアルバイト・パート従業員の時給が引き上げられるなか、一部の清掃業務の時給も上昇傾向にある。少し前には、温泉地で民泊の清掃員の求人が時給2000円（交通費別）で出されたものの、応募者が集まらないというSNS上の投稿が話題を呼んでいた。外国人観光客が多く訪れる北海道の観光地、ニセコの住民はいう。
「スキー場周辺のホテルなどでは清掃のアルバイト・パートで時給2000～2200円という募集は当たり前になっています。それでも人材確保に苦労しているところも多いようです。ウチのような地方の観光地はコロナで若い人が都市部に流出してしまっていたので、突然インバウンドが増えて働き手が必要になっても、人がいないので争奪戦になってしまうんです」
カカクコムが運営する求人情報検索サイト「求人ボックス」によれば、清掃員の正社員の平均年収は約356万円。アルバイト・パートの平均時給は約1020円。一口に清掃員といってもビル清掃やホテル・旅館清掃、特殊清掃、一般住宅清掃など多岐にわたり、賃金も上下する。
非常に効率良くテキパキと作業することが求められる
そんな清掃業のなかで、深夜の百貨店清掃の業務に就いたという人のSNS投稿が一部で話題に。投稿者は清掃会社に在籍して一日の労働時間は5時間ほど、週休2日で給料は手取り25万円ほどだといい、「仕事はラクでマイペースでできる」と綴っている。
清掃員の仕事内容とはどのようなものなのか。ホテル清掃員の経験があるXアカウント名「清掃員バイト」さん（@kinketsuAlways）に聞いた。
「客室のベッド周りから風呂、トイレ、洗面台など室内を一通り掃除するのに加え、廊下や駐車場などもやっていました。私は朝10時から休憩を1時間はさんで夜19時くらいまでの勤務で、当然ホテルなので深夜シフトの人もいます」
清掃員の仕事で苦労するのはどのような点なのか。
「シーツの貼り替えなどベッド周りの作業やお風呂掃除など、かがんだ姿勢での作業も多く、想像以上に肉体労働です。人が宿泊したり長時間滞在した後なので、あり得ないほど汚い物が床に落ちていることもあります。また、2～3人で客室一室につき10分くらいで掃除を終えなければならず、非常に効率良くテキパキと作業することが求められます。
一番大変なのが、テーブルの上の細々としたゴミを片付ける作業です。食べ物が容器に残っていたり、ゴミを分別して回収しなければならなかったりするので、面倒で時間がかかってしまうのです」（同）
清掃員の仕事の魅力 逆に清掃員の仕事の魅力とは何か。
「意外に多いです。一番の魅力は、なんといっても接客がないのでストレスが少ない点です。接客がない仕事というのを探すと限られてしまい、清掃員以外だと工場労働者などもありますが、清掃業のように毎日平日の同じ時間帯にシフトに入れるのかは分かりません。また、私が働いていた職場がたまたまそうだっただけかもしれませんが、従業員が高齢の方か主婦か、もしくは過去に人生で何らかの失敗をしてそこで働いているという人が大半で、皆さんすごく優しくて温和な方ばかり。話が合ってすぐに打ち解け合えることができ、人間関係のストレスがなかったことも良かったです。その意味では、非常に働きやすい環境だったといえます」（同）
気になる賃金はどうなのか。
「時給は当時の最低賃金と同額で1100円くらいだったと思います。社会性を必要とされない仕事だという点を差し引いても、労働の大変さと賃金が見合っておらず、もう少し高くてもよいのではないかと感じます」（同）
では、百貨店の深夜の清掃はラクだと考えられるか。
「その経験がある知人に聞いたことがあるのですが、『ラクだよ』とは言っていました。ホテルの客室のように一室一室を10分で清掃して回っていくというようなこともないでしょうし、客室内の清掃のような細々とした作業もそれほど多くはないと思われるので、ホテルよりはラクかもしれません」（同）
（文＝Business Journal編集部）
提供元・Business Journal
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