「2枚買えば1枚無料、見るたびに買ってたら100個たまってた」
「20年間節約生活励んでお金貯めた、でも同窓会で話すことなかった」
最近、物価高騰に関するニュースが増えた。食料品に加え、外食チェーンもどんどん値上げを行い、家計の負担が増している。こんな時に取り組みたいのが「節約」だ。
しかし、「節約しなければ」という強迫観念で節約自体が目的になってしまうと、今ある大事なものが失われてしまう。
本記事では節約中毒の悲惨な末路、間違った方法で節約を続けていくと何が起きるのかを詳しく解説する。
「割引」に目がくらんで不要なものを購入
「30%割引」「定価から半額」といったシールが貼られている商品を見ると、つい買いたくなっていつの間にか不用品がたまっている、という人がいる。
その商品、本当に「買うはず」だったのだろうか?
必要な商品が割引されている時は、「ラッキー」と思って買っても構わない。しかし、買うつもりのない商品だった場合は、一呼吸して、そもそも買うべきかを考えてほしい。
必要がないのであれば、半額だろうと70%オフだろうと、「無駄な出費」である。
「1枚買うと1枚は半額」にも注意
「1枚買うと1枚は半額」
これを見た途端即購入し、苦しい思いをして食べたものの、3枚余って翌日の朝食にする、ということがないだろうか。
「1枚買うと1枚半額」「1枚買うと2品無料」 これは実に効果的なマーケティング手法であり、注意が必要だ。
2枚のピザを1.5枚分の値段で購入できるのだから一見お得そうに思えるが、本当に「全部美味しく、満足して食べられる」 量だろうか。
「1枚を、1枚分の料金で美味しく全部食べ切る」 ほうが2枚買うより安いし、充実感が高い買い物といえるのではないだろうか?
「絶対お得」と思わせる謳い文句を見かけたらいったん深呼吸して、「本当に必要か、本当にお得か」を考えてみてほしい。
エアコンのオン・オフにこだわり過ぎると…
節約のためにエアコンのオン・オフを何度も繰り返すと、かえって電気代がかさむことがある。一般的に、エアコンは起動時に多くの電気を消費するからだ。そしてオン・オフの管理に、集中力や時間を奪われていないだろうか。
長時間外出するときは別だが、自宅にいて、自動温度調整機能が備わっているエアコンであれば、つけっぱなしにしておいたほうがよいというのが通説だ。
そこはほったらかしにして、目の前のことに集中しよう。
「お金」を節約して「時間」を無駄遣い
「お金」の節約に夢中になって今ある貴重な「時間」を無駄遣いしていないか、一度考えてみてほしい。
たとえば、家計が苦しいから食費を抑えようと、わざわざ遠くのスーパーへ足を運ぶ人がいる。
しかし、遠いスーパーに行く場合、「移動時間のコスト」がかかることを忘れてはならない。その時間、家にいて子どもの話を聞いてあげるほうが、家庭は豊かになるのではないか。
「ATM手数料取られるのが嫌だから、会社の昼休みに一つとなり駅の銀行まで歩く」
これも、時間という財産を失う行為である。昼休み、しっかりと休憩し午後の仕事に備えれば、パフォーマンスが上がり、結果的に年収が上がるかもしれない。
「節約中毒」で失われるものー今を大事に豊かさに目を向けよう
「節約しなくては」という強迫観念にとらわれ、節約自体が人生の目的になってしまうと、今ある貴重な何かを失うことになるのではないか。
「20年間まじめに節約頑張ったけど、同窓会で語れるような面白い話がない」
大事な人との飲み会、友だちとの特別な思い出、「節約しなければ」と断ってしまうと、そのときにしかなかった大切な時間が失われてしまうのだ。
「老後は旅行三昧」を夢にかかげていても、老後、今と同じ体力がある可能性は低い。
節約で家計を守ろうとするのは崇高な行為だ。ただし、「本来の豊かさ」にも目を向け、ほどよく取り組めるといい。
文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー)
立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。