体への回帰とその後

「叔父が私を体に戻してくれたが、体の中に戻りたくないと強く思った」と彼女は説明している。「プールに飛び込むような感覚」で、7時間の手術後、叔父の人影に促されるようにして「生気のない」体に戻ったロウリー氏は、その後回復した。

 ロウリー氏は「死亡」している間に起こった出来事を詳細に語り医師たちを驚かせたが、彼女の主張に懐疑的な意見も存在する。麻酔の意識消失が不完全だったという説もあるが、ロウリー氏は目を閉じ、ヘッドホンでクリック音を聞いていたため、この説は否定されている。ロウリー氏は2010年5月、53歳で心不全により亡くなった。

 手術台の上で肉体から意識が離脱し、医師の肩越しに手術の様子を眺め、亡くなった親族と再会する…。ロウリー氏の体験は、まさに死後の世界を垣間見たかのような驚くべき臨死体験だ。科学で説明できないこの不思議な現象は、人間の意識とは何か、死とは何かを私たちに改めて問いかけているのかもしれない。

文=深森慎太郎

提供元・TOCANA

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