東京証券取引所は5日、株式の取引時間を30分拡大し、終了時刻を午後3時から同3時半に繰り下げる。終了時間の延長は1954年以来70年ぶりで、取引時間は5時間半となる。より多くの取引機会を設けることで市場の魅力を高め、投資資金を国内外から呼び込む狙いがある。ただ、海外市場の水準には達しておらず、売買の活性化にどの程度寄与するかは不透明だ。

 取引時間は午前9時~11時半と午後0時半~3時半になる。東証幹部は時間拡大で「取引所としての存在感が世界で高まり、資金の流動性が向上する」(株式部)と期待する。一方、海外主要市場の取引時間はニューヨークが6時間半、ロンドンは8時間半、シンガポールは7時間。ニューヨーク証券取引所は、時間外取引を含めると現在16時間の取引時間を22時間に延ばすと公表している。

 東証の1日当たりの売買代金は、2024年度上半期が5兆円規模。企業の統治改革などを背景に19年度の約3兆円から着実に増えており、今後も伸ばしていけるかが課題となる。

 今回、東証は海外で採用されている「クロージング・オークション」という制度も新たに導入する。取引終了前の5分間は売買を成立させず、受け付けた注文の情報を配信。午後3時半に一斉に成立させて終値を決める。終了直前に集中しやすい取引の透明性を高める効果があるという。

 取引時間の延長は、取引の終日停止を招いた20年10月のシステム障害を機に検討された。延長により、障害発生当日中にシステムを復旧できる可能性も高まる。

◇東証の株取引時間の歩み
              午前     午後
  1950年9月11日 9~11時  1~2時
     54年3月3日  同     1~3時
    91年4月30日  同     0時半~3時
 2011年11月21日 9~11時半  同
   《20年10月1日 システム障害で終日取引停止》
    24年11月5日  同     0時半~3時半
(了)

提供元・Business Journal

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