田中角栄と言えば、第64、65代内閣総理大臣を務めた日本の政治家である。新潟の貧しい農家に生まれるも、小学校の通信簿は全て「甲」(現代で言うオール5に相当)という優秀さであり、高等教育を受けないまま首相まで登り詰めたことから、「今太閤」と呼ばれていた。また、コンピュータ付きブルドーザーと形容されるほど知識量と実行力に長け、その巧みな官僚コントロール術は現在でも多くの啓発本などで紹介され続けている。

 議員時代に33本という史上最多の議員立法を成立させた、稀代の政治家として知られている彼にまつわるエピソードはあまりにも多い。
 列挙するだけでも次のようなものがある。
・訪中の晩餐会の翌日に北京の空港で漢詩を発表した。
・ソ連を訪れた際に秘書から「盗聴器に気を付けて下さい」と言われ、「トイレットペーパーが悪い!タオルが汚い!」と大声で怒鳴ったところ翌日に新しいものに変わっていた。「盗聴されるのもいいもんだ!」と言って秘書も仰天したという。
・目白にある自宅から新潟の実家まではたった「3回」曲がるだけで到着すると言われ、ある時テレビ番組で検証が行なわれたところ事実であったことが判明した。
・代表的著作『日本列島改造論』が世に出て以後、記者たちから口々に読んだという報告を聞いて、「俺も読んでみようかな」と答えた。
・全省庁の課長以上の人物の誕生日や結婚記念日を記憶してそのたびに贈り物を送り、また官僚の息子娘の誕生日までも把握していた。
・大蔵大臣時代、官僚のミスで誤った予算評が審議に出てしまい、作成した役人が責任を感じて辞表を提出しようとしたところ「気にするな!」と言って改定票を持ち、「先日予算表に間違いがございました」と何食わぬ顔で訂正した。本来であれば、作成した役人と上司であった田中もクビが飛ぶレベルであった。

「田中角栄」にまつわる驚愕エピソードの数々!盗聴器を逆手に…?同姓同名者が改名
(画像=長岡鉄道社長時代の田中 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)

 これだけでも、田中角栄の人物そして人柄がどのようなものであったか充分にお解りだろう。他にも、届いた年賀状は多い時には8000通にも及び、それらすべてに目を通していたものの、その殆どが一切面識のない支持者もしくは冷やかしだったという。

 また、世間を大きく騒がせたロッキード事件の発覚により、彼自身ではない別の出来事も発生していた。彼にあやかって名付けられた「田中角栄」という同姓同名の少年がいたのだが、事件によって評判が悪くなっていったことでいじめを受けるようになり、のちに裁判で改名が許されたそうだ。

 現在でも、人気の高い人物・政治家として評価されている田中角栄。かのロッキード事件については、真相のほどは不明であるものの「無罪論」「でっち上げ」と主張する論も絶えない。それだけ、田中角栄がその対人掌握術のみならず、日本における政治家としても見逃すことのできない重大な存在だと見なされていることの証左であろう。

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文=ナオキ・コムロ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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提供元・TOCANA

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