定期的に、「日本と海外では、接客サービスが異なる」ことが話題になります。
「お客様は神様」だった日本と、「客と店員は対等」だとする海外では、当然、接客の態度やそこにかける労力への考え方が異なっています。
こうした価値観のズレは、AIの用い方にも影響を与えているようです。
最近、「イオン」で有名なイオンリテール株式会社は、従業員の笑顔と挨拶を評価・トレーニングするAI「スマイルくん」を導入しました。
この取り組みに対して海外では、「まるでディストピアだ」との声が上がっています。
AI端末「スマイルくん」導入の詳細は、イオンリテールの2024年7月1日付の『ニュースリリース(PDF)』にて報告されています。
目次
- 世界初!従業員の笑顔を評価するAI「スマイルくん」
- 「お客様は神様」なのか?「客と店員は対等」なのか?
世界初!従業員の笑顔を評価するAI「スマイルくん」
日本のスーパーマーケット「イオン」「イオンスタイル」の約240店舗では、2024年7月から、InstaVR 株式会社が提供する笑顔・発声トレーニングAI端末「スマイルくん」が導入されました。
このスマイルくんは、笑顔・発声をリアルタイムにAI分析してスコアリングし、即座にフィードバックしてくれます。
プレスリリースによると、これまで従業員たちは接客における笑顔・発声の基準が人によって異なっており、「口角が十分に上がっていない」「声量が十分でない」「聞きやすい滑舌になっていない」などの課題があったようです。
それらを改善するのに役立つのが、AI端末「スマイルくん」なのだとか。
画像のように従業員がスマイルくんに向かって挨拶すると、スマイルくんは、目元や口元などの450以上の「笑顔ポイント」を分析し、100段階で評価します。
また、声量・滑舌・調子(音程)に関しても視覚的にフィードバックしてくれます。
さらにスマイルくんは、笑顔・発声の評価に応じて経験値を得ることができ、その経験値に基づきレベルアップ。難易度やバリエーションが変化します。
これにより従業員はゲーム感覚で毎日スマイルくんを利用し、少しずつ笑顔や発声を改善していくことができるのです。
実際、先行した8店舗の実証実験では、笑顔と挨拶の実施率が3カ月で1.6倍に向上したようです。
これは非常に大きな成果だと言えます。
一方で、海外を中心に、一部の人々からはいくらか疑問の声が上がっています。