報告例がないことを持って、コスタイベでは心筋炎が発症しないとすることはできません。第Ⅲ相臨床試験では心筋炎の発症頻度を捕捉することはできないということが正しい理解です。

すなわち、第Ⅲ相臨床試験では薬剤の安全性は十分に検証できないのです。第Ⅳ相臨床試験や研究機関での自主的研究が実施されて初めて薬剤の安全性のエビデンスが示されます。

以上より、コスタイベワクチンは、他のmRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)のように第Ⅳ相臨床試験や研究機関での自主的研究が実施されていないため、「他の多くのワクチン同様安全である科学的根拠があるとは言えない。」という結論になります。

最後に、医薬品の承認後に、第Ⅳ相臨床試験で重篤な副作用が問題となったイレッサという薬剤を紹介しておきます。以下のように解説されています。

肺がん治療薬として2002年7月に承認されたイレッサは、副作用の少ない分子標的治療薬(注2)として期待されましたが、承認直後から急性肺障害や間質性肺炎(注3)などの致死性副作用が問題となりました。

繰り返しになりますが、薬剤の安全性が担保されるのは、第Ⅳ相臨床試験が実施された後なのです。したがって、第Ⅳ相臨床試験が実施されていないコスタイベワクチンは、安全であるとする科学的根拠が十分にあるとは言えないのです。