黒田剛監督や金明輝ヘッドコーチのもと、ヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島とJ1優勝争いを繰り広げている町田ゼルビア。ロングスロー戦術などを巡り賛否を呼んでいるが、同クラブの勝負のこだわる姿勢が日本代表の強化に欠かせない要素だとして、一部のサッカー関係者は前向きに捉えているようだ。
興國高校(大阪)監督時代にFW古橋亨梧(セルティック)らを輩出した内野智章氏(現奈良クラブ・ユースコーチ兼テクニカルダイレクター)は、11月2日に自身のYouTubeチャンネルを更新。日本代表・浦和レッズOBである鈴木啓太氏との対談動画を公開した。
両者は「今後日本代表がさらに強くなるには」というテーマのもと議論しているが、その中で内野氏は指導者として自身の経験をもとに、育成年代からサッカー観を世界基準に合わせる必要性を強調している。
「フットボールというルールのなかで認められているものは、全部やるのが当たり前。だから主審のファウルって笛を吹かれたりカードを出されること以外は、ルール内ですべてやって試合に勝つという感覚が…(乏しい)」
「日本の育成では武士道というか、清潔感がありすぎる。ちょっと真面目すぎる。真面目すぎるが上の課題がある。スペイン人とかは、フットボールのルールの中で許されることをすべて利用して勝つ。それは全然悪じゃない」
この内野氏の持論に対して、鈴木氏も「日本は清潔な感じがするし、こうあるべきみたいなものが多いかなと思う」と頷くと、内野氏は「(日本で)ロングスローの議論とかもあるけど、ルールなので全部オッケー。正々堂々じゃないという声もあるが、ルールでオッケーならば、それは正々堂々」と、ロングスローを積極的に使う町田のスタイルにも言及した。
ロングスローの他にも、パリ五輪U23日本代表FW藤尾翔太によるPK直前の水かけ行為でも注目を集めた町田。ネット上では「試合を見ている子供たちにとって良くない」といった否定的な意見も相次いでいるが、「ルールの中で許されることをすべて利用する」という観点から、町田のスタイルは世界基準と言えるかもしれない。