メルセデス・ベンツ日本は2024年10月23日、究極のオフロードSUVのGクラスに電気自動車 バージョン「G 580 with EQ Technology Edition1」を新たに追加し受注を開始した。デリバリーは11月が予定されている。
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ゲレンデワーゲンと呼ばれるGクラスのラインアップに初の電気自動車を新たに設定した。Gクラスとしての伝統的なデザインやオフロード性能は そのままに、4モーターによる電気自動車ならではの革新的な、新しいオフロード走行性能を実現している。なお今回の発売は導入記念特別仕様車「エディション1」だけが販売される。
G 580 with EQ Technologyの源流は、2021年にミュンヘン・モビリティショーに出展したEVの「コンセプトEQG」だ。4個のモーターを採用していると発表されたが、詳細は未公表であった。
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そして2024年の北京モーターショーでG 580 Technologyとして市販化されることを発表。なおEVではあるが、メルセデスのEQシリーズには加えられず、「EQ Technology」という表現になっている。生産は、従来のGクラスと同様にオーストリアのマグナ・シュタイヤー社が担当している。
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G 580 with EQ Technology Edition 1は、BYDのプレミアム・ブランドである仰望(ヤンワン)とメルセデス・ベンツが共同開発した4輪独立式4モーターを搭載している。最高出力108kW(147ps)の4基のモーターは、専用に強化されたラダーフレームの前後フレームに2つずつ組み込まれダブル・ジョイント式ドライブシャフトを介して各ホイールをを駆動。そのため、サスペンションのストロークによるキャンバー変化を抑制することが可能だ。なお、リヤアクスルは専用のド・ディオン式リジッドとなっている。
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4基のモーターは、システムトータルで587ps(432kW)/1164Nmを発生し、これまでの最強モデルであるAMG G63を上回るパフォーマンスを実現している。
前後アクスルに2基ずつモーター搭載していることは、つまり4輪独立モーター配置の4WDであることを意味し、各モーターには2速変速機が内蔵されたe-アクスルとなっており、ローレンジモード時には減速比を低速化すること駆動トルクを向上させる。
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4輪独立のモーターによりそれぞれのトルクを個別にコントロールできるため、通常の4WD走行だけではなく、駆動トルクベクタリング、コーナリング時の左右輪の駆動トルクを同一にする仮想デフロック機能も持つ。また未舗装路でその場で左右輪を逆回転させて旋回可能なG-TURN(戦車の同軸旋回:最大2回転まで許容)」や、後輪軸を軸としてタイトに旋回ができる「G-STEERING」(ただし、公道での使用は不可)など特殊な、従来では不可能な旋回機能を備えている。
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また、電気自動車は吸気がないため、最大渡河水深はG 450 dの700mmを上回る850mmを実現。電気自動車でありながら内燃機関モデルと同等以上の卓越したオフロード走破性を備えている。
駆動用リチウムイオンバッテリーの総容量は116kWhで、全216個のセルを12のモジュールに分割し、最大4mm厚のスチール製ラダーフレームに組み込んで搭載。フロア下面はカーボン複合素材製の強化パネル(厚さ26mm)でガードされている。
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WLTCモードの一充電走行距離は530km。充電は、最大出力150kWまでのCHAdeMO規格の高圧急速充電と6kWまでの普通充電に対応している。
デザインは、スクエアなボディ、クラシックなドアハンドル、フロントフェンダーのウインカーレンズなど他のGクラスと変更はないが、盛り上がった力強いボンネット、リヤホイールアーチに加えられたエアカーテンなどGクラスの電気自動車専用のディテールを採用。
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メルセデス・ベンツ GクラスにEV登場 4モーター搭載でタンクターンや渡河水深などICEを上回る性能
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もちろんメルセデス・ベンツの最新のMBUXやキーレスゴーなどの快適装備、アクティブステアリング・アシストや自動再発進機能などの最新安全運転支援システムが標準装備される。
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インテリアでは、インスツルメントパネルの中央部に、ローレンジ、G-TURN、G-STEERINGのスイッチをレイアウト。G580にはナッパレザーダッシュボードやナッパレザーシート、マイクロカット生地のルーフライナーなどを装備。またブルメスター3Dサラウンド・オーディオも標準装備される。
価格
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