自宅訪問営業のリスク
今回の事件では、自宅訪問営業のリスクが浮き彫りとなったかたちだが、他にも懸念点はないのか。
「普通の富裕層は資産運用、その上の超富裕層は保有している資産をいかに減らさないかという資産防衛への興味が高いですが、どちらの層が相手であっても、証券会社の営業担当者は『現在どういう資産状況なのか』を把握する必要があります。そうすると顧客側は、タンス預金など表に出せない資産を営業担当者に把握されることになるので、のちのちそれが裏目に出てしまうというリスクはあるかもしれません。また、証券会社ではルール上、特に顧客が高齢者である場合などは十分な判断能力や金融リテラシーを持っているのかをチェックすることになってはいますが、営業の現場でどこまで厳密に行われているのかはわかりません。顧客に認知症の兆候などがある場合は、問題が生じる可能性も出てくるかもしれません」(森岡氏)
証券会社社員はいう。
「営業担当者が高齢の顧客の自宅を頻繁に訪問して取引をさせ、それを知った顧客の家族からクレームを受けるといったレベルのトラブルは珍しくはないです。大手証券会社だからという理由でコロッと信用してしまい、高リスクの商品を購入して大きな損失を被ってしまうというケースも少なくないです」
ここ最近、高齢者宅などを狙った強盗事件が相次いでいるが、悪意を持った証券会社社員が金銭目的で自社の顧客リストを業者に流出させ、それが犯罪グループに渡ることで強盗を誘発してしまう懸念はないのか。
「実際にそのような事例があるのかは分かりませんが、証券会社は顧客の預かり資産や納税状況などのデータに基づいて高額な資産を持つ人をリストアップしているので、そのようリストが外部に流出してしまうと、流出させられた人がさまざまな被害を被る懸念はあるでしょう」(森岡氏)
(文=Business Journal編集部、協力=森岡英樹/金融ジャーナリスト)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?