それに対して、清和会は国士的な人が主体であり、利権はたとえば田中派の土木に対して建築は清和会だが、規模は小さい。
安倍晋三元首相については、もともと、清和会が安倍派だったことなどないし、2012年に再登板したときは、清和会の候補は町村氏だったので、派閥の運営にかかわったのは、最後の一年だけである。
ただ、過去にロッキード事件など多くのスキャンダルに見舞われてきた旧田中派は、弁護士なども揃えてそれなりに脇が固い。その点、清和会は大きなスキャンダルがなかったので、脇が甘い。
そして、だれが責めを負うかと言えば、詳細な経緯が不明な以上は、歴代会長で存命の森喜朗・小泉純一郎両氏が離党だとか、元総裁としての栄誉自体などのかたちで腹を切るべきだと私は提案していた。
それに加えて、塩谷・下村両氏や五人組などが比例重複辞退などして、若い人たちを救うべきであったと思う。
ところが、誰も十分に責任を取らないから、岸田・石破首相が処断せざるを得なくなったのだと思う。
石破首相の、非公認や比例重複からの除外は、広範に過ぎて、ほかの不祥事とバランスが取れなかったし、比例重複を外された候補が比例で自民党への投票を呼びかけない弊害を生んだ。また、小泉進次郎氏がその決定に加わっていたことは、そもそも父親の純一郎元首相が清和会会長として責任があるはずなのに、厚顔無恥としかいいようがなかった。
もっとも、その石破首相の過剰な処分を引き出したのは、清和会の人たちの多くが投票した高市早苗氏が幹事長でないと役職を受けないとか、小林鷹之氏があらゆる役職辞退をするなど、総選挙を挙党態勢で戦う姿勢でなかったことにも大きな原因がある。
これからどうするべきかといえば、すぐに派閥を復活するというわけにはいかないが、旧清和会所属の議員、元議員の再起を図り、処遇も適正にするべく組織的に行動をすることは必要なことだ。