■どこまでも胡散臭い催眠術師
その後、エバートンは過失致死の罪で起訴されたが、シンプソンの死を受け入れられなかった催眠術師は「もう1回チャンスを与えてほしい。私の友人なら、このハンパ仕事を最後まで成し遂げる」と訴えたという。
当局もかなり困惑したそうだが、失うものは何もないと考え、催眠術師にしてコロンビア大学名誉教授のウィリアム・ダベンポートに連絡を取ることを許可。ダベンポートは、この奇妙な依頼に興味を持ち、同意したという。
死体安置所に到着したダベンポートは、さっそく死体に催眠術をかけた。
「ボブ、ボブ! 君の心臓! 聞こえるか、ボブ! 君の心臓! ほら、ボブ! 心臓が動き出したぞ。よし、始まった。見ろ! おまえの心臓は鼓動を始めている。いいかい、ボブよ。おまえさんの心臓の動きは強いぞ。ボブ、おまえの心臓はもうビートを刻んでいるのだ!」
だが、心臓はピクリともせず、シンプソンは蘇らなかった。もはやこの男は完全に死んでいることが明らかになり、エバートンは刑務所に逆戻りしたが、それでも仮死状態説を曲げなかったそうな。
ところが、事態は一転する。奇跡的にエバートンは釈放されたのだ。検視官がシンプソンの死因を「大動脈破裂による事実上の即死。彼がトランス状態から覚めた直後に起こった」と断定したからだ。かなりグレーな判断ではあったものの、催眠との因果関係を実証するには至らなかったという。
その後、表舞台から遠ざかったエバートンだったが、一度だけ、禁酒法時代に酒の密造で逮捕されたらしい。その際も「催眠術で警察を止めることもできたが、それはしなかった」と、どこまでも胡散臭かったそうだ。それからのエバートンがどうなったか、誰も知らない。下手をすれば殺人犯になっていたかもしれない催眠術師。存外、シンプソンの本当の死因に心当たりがあったのではあるまいか。まぁ、すでに墓まで持っていってしまったのだろうが。
提供元・TOCANA
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