アルプスの少女ハイジは、スイスの作家ヨハンナ・シュピリによる1880年代に発表された児童文学作品、日本では1970年代に世界名作劇場の前身「カルピスまんが劇場」で放送されたテレビアニメ作品である。
幼い少女ハイジが、アルムの山小屋で一人暮らしをする祖母へと預けられ、アルプスの大自然の中ですごしながら、様々な人たちとの交流を通じて健やかに育っていくという物語だ。
名作アニメの一つとして知られ、2000年代に入り日産自動車のCMアニメとして「低燃費少女ハイジ」が作成され、また2012年はアニメ版権が切れたために「家庭教師のトライ」でもCMキャラクターに起用されるといった経緯で、現在でも長寿アニメかのごとく高い知名度を獲得している。海外においてもアニメ「ハイジ」は人気があり、原作にあった教養としての宗教的部分が取り払われた代わりに、そのアルプスの美しい背景描写は非常に高く評価されているという。
アルプスの少女ハイジは、健気なハイジの活躍によってもたらされる明るさが象徴的な一方で、少々暗い逸話や噂がいくつも存在する。
2010年、ドイツの文学研究者であるペーター・ビュトナーが、この「ハイジ」に盗作の疑惑があることを指摘したことで大きな話題となった。その作品とは、ドイツの作家ヘルマン・アーダム・フォン・カンプが発表したという『アルプスの少女アデレード』というものであり、発表年は「ハイジ」よりも50年早い。日本でのアニメは指摘よりも前に放送されており、こちらの方は特におとがめは無かったそうだ。
また、登場キャラクターの行動がアニメと原作で異なっている点もある。そのような例は珍しいことではない。だが、例えばクララが歩行訓練が上手くいかないことに苛立ち、車椅子を壊してしまうという場面がアニメでは展開されているが、原作ではペーターがクララから構ってもらえないことを妬んで車椅子を崖から落としてしまうという描写がなされている。
少々、裏のあるキャラクターということについての筆頭は、なんといってもハイジの祖父であるアルムおじいさん(アルムおんじ)だ。人との付き合いを避けて山奥に暮らしている人物で、当初は不愛想で気難しい性格であったが、ハイジと触れ合うことで徐々に温和な性格へ変わっていった。
アニメでは語られることが無かったが、このおじいさんは、なんと人殺しの疑いがあったというのだ。立派な農園の長男として生まれた彼は、悪い仲間と付き合って遊びで散財していた。心痛のうちに両親は亡くなり、彼はその後行方をくらませてしまったが、ナポリの軍隊にて傭兵をしていたのだという。数十年経ち、息子を連れて故郷へ戻って来た彼であるが、その際に「喧嘩で人を殴り殺してしまい逃亡してきた」という噂が広まったというのである。
あくまで、彼が人を殺したという話は、作中においても真偽不明の噂話に過ぎない。ただ、若い頃の素行が甚だ悪かったことは確かであり、そうした評判が彼への疑いを生み出してしまったというのは充分に理解できる。
彼がそうした噂の飛び交う世間で生活することに嫌気がさしたため、山小屋に一人住むようになったとも考えられるが、その一方では全財産を失い、かつ戦争体験に疲弊したことで、対人を拒絶するようになったのではないかとも考えられるだろう。
文=黒蠍けいすけ(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
提供元・TOCANA
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