さまざまなバイトテロ、莫大な損害賠償や逮捕も

 過去には、ある蕎麦店でアルバイト店員が食器洗浄機の中に横たわるという悪ふざけを行い、その様子を写真に収めてSNSに投稿したことが原因で破産・閉店に追い込まれたケースがある。店側は、この学生に1385万円の損害賠償を請求した。さらに、あるステーキ店で、アルバイト店員が冷蔵庫に入った様子をSNSに投稿したことで、本部からフランチャイズ契約を打ち切られ、閉店をよぎなくされたことから、同店員に対して数千万円の損害賠償を請求した。ほかにも、大手回転寿司チェーンで、誤ってごみ箱に捨てた魚を拾い上げて調理する動画がSNS上に投稿された結果、株価が急落して時価総額で27億円も下がったケースもある。

 今年に入ってからも、しゃぶしゃぶ店で、アルバイト店員がほかの従業員から羽交い締めにされ、口の中にホイップクリームを流し込まれる動画がSNSに投稿され、炎上。運営会社が謝罪する事態になった。また、宇都宮の食堂で、パート従業員が鍋から別の人の口の中へ液体を直接流し込むという動画がSNS上で拡散。運営会社が謝罪し、関与したパート従業員3人のうち1人が自主退職、残る2人は解雇された。さらに大手ピザチェーンのアルバイト従業員が、鼻をほじった指をピザ生地にこすり付ける様子を撮った動画が炎上し、運営会社が謝罪、同店舗は営業停止となった。

 このように、アルバイト店員が気軽に上げた写真や動画によって甚大な損害が出ることもあるため、最近では職場内にスマートフォンの持ち込みを禁止している飲食店も少なくない。

 その一方で、冒頭のファミマのホットスナックケースに店員がモップを入れた行為について、SNSに投稿したXユーザーの行為を懸念する向きもある。それは、店の業務を妨害したことにならないか、との指摘だ。

 2022年に大手餃子チェーンの宮城県内の店舗で、「ナメクジが大量にいる」と指摘する投稿を行った元従業員の男性が今年、威力業務妨害の疑いで逮捕された。この男性は、店内の厨房でナメクジやゴキブリが大量に発生していることを店長に報告したが、適切に対処されなかったことから、写真付きでSNSに投稿。するとネット上で大きな話題となった。同チェーンの本部は保健所の調査の結果、衛生状態に問題はなかったとしつつも、運営会社とのフランチャイズ契約を打ち切った。

 さらに同チェーンは、男性がSNSに投稿したことで、店舗が不衛生であるような印象を世間に与え、結果的に閉店にまで至ったことを重く見て、刑事告訴した模様。だが、ナメクジがいたことは事実で、虚偽情報によって業務を妨害したわけではないにもかかわらず、逮捕は行き過ぎだと、男性を擁護する声も多い。

 なお、山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は、「時系列で言えば、店の不衛生さを告発したら放置されたという点が端緒になったようですが、SNSに投稿する行為の時点で間違っているので、店側を非難するのは筋違いです」として、事実であってもSNSに店の不利益になる情報を投稿する行為は、威力業務妨害になる恐れがあるとの見解を示している。

 誰でもSNSに投稿することで社会に広く情報を拡散することができる時代になったが、時にはそれが人や店などの信用や名誉を傷つけることを理解した上で、慎重に投稿する内容を吟味する必要があるのだろう。

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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