現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、うえまつそうの新連載「島流し奇譚」。この連載では現役教師ならではの他にはない実話怪談を紹介する。第14回目となる今回は、「卒業式」にまつわる恐怖体験。
都内のとある中学校では毎年毎年、不思議なことが起きる日があるという。それが「卒業式の予行練習の日に体育館で誰かが足を引っ張られる」というものだ。
これは実際に現在生徒である2年生の女子生徒から聞いたお話。
どの学校でも毎年3月に行われる卒業式の予行練習。2023年3月、もちろんその中学校でも卒業式の予行練習があった。
朝、在校生と教員が協力して体育館の全面にグリーンのシートを敷き、在校生たちは教室から各自で椅子を持ってきて、クラスごとに並んで座る。予行練習はだいたい1〜2時間ほどで終わるのだが、その時間になるとなぜか毎年誰かが「何か」に足を掴まれるという。被害を受けるのが生徒なのか先生なのかは年によって違うらしい。
「今年は誰が掴まれるのかな…そもそも何に掴まれるんだろう…」と皆が噂していた中、足を掴まれ悲鳴を上げたのは、1年生の女子生徒A子さんだった。
しかしその年はいつもとは様子が違ったのだ。
いつもなら足を掴まれて悲鳴を上げるだけで終わるのだが、今回は違った。1年生の女子生徒A子さんの足首には、誰のものとも知れない長い黒髪が束になってグルグルと絡みついていたのだ。
「気持ち悪い!」A子さんは髪の毛を足首からほどき、ゴミ箱に捨ててことなきを得たが、さすがに気持ち悪い体験をしてしまったその日の夜、自宅で大好きな祖母にそのことを打ち明けた。
「おばあちゃん聞いて。今日学校で怖い目に遭って…体育館にいたら足首を触られて見たら長い髪の毛がたくさん絡まっていて…絶対に幽霊の仕業だよ…もう学校行きたくない」
それを聞いた祖母はこう返したのだ。
「それは怖かったね、けれど大丈夫。きっと気のせいだよ。もしも幽霊がいたとして、あんたにそんなことしてたんだったらおばあちゃんがそんな悪い幽霊捕まえてとっちめてやるから!まったく気持ちの悪い最低の幽霊だね!」
孫を安心させてやろうと、あえてその幽霊のことを悪く言ってしまったという。
A子さんはその祖母の言葉に安心して翌日からもいつも通り学校へ通ったそうだ。
そんな出来事があってから数日後、A子さんが学校から帰宅すると家の前に救急車が停まっていた。
「え?ウチ…?」
急いで家に入ると廊下の奥に祖母が倒れており、母と救急隊員が祖母に応急処置をしていた。
首のあたりをガリガリと掻きむしりながら苦しむ祖母。
救急車で運ばれ近くの病院へと搬送されたが、まもなく祖母は亡くなってしまったという。
死因は喉に食べ物を詰まらせた窒息死ということだったのだが、あの時A子さんははっきりと見てしまったという。
ガリガリと掻きむしる喉、苦しむ祖母の開いた口の奥に大量に絡みついた長く黒い髪の毛の束を…。
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文=うえまつそう
提供元・TOCANA
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