破産には至らなかった可能性も?

 船井電機は創業者・船井哲良氏が08年に退任後、赤字が常態化して経営が安定しない状況が続いた。17年に船井氏が死去すると、北海道の病院で院長を務める長男は船井電機株の34.18%を相続。長男は複数の投資ファンドなどから株売却の話を持ち掛けられたが、船井電機に株譲渡の意向を示し、これを受け同社は秀和システムと協議し、秀和によるTOB(株式公開買い付け)によって上場廃止となり秀和の傘下に入ることで合意。秀和の上田智一社長が船井電機社長に就任して再建に取り組んでいたとみられるが、今年9月に上田氏は船井電機の社長を退任した。

「今となっては完全にifの話となってしまうが、もし出版事業の秀和ではなく投資ファンドの下で再建に取り組んでいたら、破産には至らなかった可能性はある。投資ファンドの目的は買収した企業の価値を高めて高く株を売り抜けることなので、厳しいリストラと抜本的な経営改革を敢行して船井電機を再建に導くことができたかもしれない。また、過去に1度、事実上破綻したこともあり業績も低迷していたとみられる脱毛サロンチェーン運営会社ミュゼプラチナムを昨年に買収して、結局1年で手放しているというのも不可解だ。明らかに経営が迷走していたと考えられる」(大手金融機関ファンドマネージャー)