東京電力福島第1原発事故以来、原発を停止してきた東北電力と東電は、電源を火力発電に依存してきた。この結果、両社の電気料金は計11基の原発を再稼働した関西、九州両電力に比べ2割程度割高だ。料金の東西格差は産業立地などに影響を及ぼす可能性もあり、今回の東北電女川原発2号機(宮城県)の再稼働は「大きな節目」(武藤容治経済産業相)とみられている。
10月使用分の電気料金を見ると、標準的な家庭で東北電が8186円、東電は8260円と、関電や九州電と比べ1000円以上高くなっている。昨年6月に燃料費の高騰を受けて電力7社は値上げに踏み切ったが、関電、九州電など3社は据え置いた。原発再稼働によって火力の燃料費が抑えられたためだ。
一方、東北電と東電を合わせた電源構成は約8割が火力で、運転40年超の老朽火力も含まれる。トラブルで停止すれば、需給が不安定化するリスクもはらむ。武藤経産相は29日の閣議後記者会見で、データセンター新増設などによる今後の需要の伸びに対し、「電力供給構造は決して余裕がある状況ではない」と強調した。
ただ、原発再稼働がすぐに電気料金に反映されるわけではない。東北電によると、女川2号機再稼働で年間600億円規模のコスト削減が見込めるが、既に再稼働を前提に料金を設定し、値下げには慎重だ。
東電も柏崎刈羽7号機(新潟県)の再稼働を目指しているが、地元同意は得られていない。今月27日投開票の衆院選で、原発利用に慎重な立憲民主党が新潟県の5小選挙区の議席を独占したことにも「影響はゼロではない」(東電関係者)との声が出ている。 (了)
提供元・Business Journal
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