気候変動で将来人類が被る被害を最小にして人類の発展を考える場合、(1)温暖化要因気体であるCO2やメタンなどの放出量を削減して、それらを出さないようにする「緩和」と、(2)気候変動起因の自然災害、例えば海面上昇や異常高温、旱魃や洪水から人類を守る「適応」、の二つのことにお金をかける必要があります。気候変動対策には(1)の「緩和」よりも(2)の「適応」が重要だという認識が広まっているようです。
「適応」の例として、科学者や技術者としては、スパコンの演算速度を上げてシミュレーション(例えば、台風の進路のより正確な予測)や、堤防や灌漑などの建設技術、食糧の生産技術などの向上に努めることは明らかです。しかし、一般の生活者は、どうすればいいのかがあまり提案されていません。
そこで登場するのが、「流域思考」なのです。実際に住んでいるその場所を「流域思考」で理解して、災害に対して「適応」していくことが、結局は自分自身の命を守る具体的な気候変動対策なのです。YAMAPという福岡に本社がある山関係の会社が流域地図を公開されています。みなさんは、一度ご自身の住んでいる家の流域を把握しておくことが大切だと思います。
YAMAP流域地図
(おまけ情報)
『「奇跡の自然」の守りかた: 三浦半島・小網代の谷から』の著者、慶應義塾大学名誉教授の岸由二先生と東京工業大学教授の柳瀬博一先生がツアーガイドとなっていただき、2023年11月3日の文化の日、晴れの特異日に、なんとも贅沢な小網代の森の探索をしてきました!その様子は、YouTube動画として公開しています。