ポルシェ911(992)の高性能バージョン「911 GT3」がマイナーチェンジ。エアロダイナミクスの改良やさらなる軽量化、トランスミッションの最終減速比の変更、新しい軽量スポーツバケットシートの設定などを実施してパフォーマンスを強化。サーキット走行を重視したヴァイザッハパッケージや控えめな演出でハイパフォーマンスを演じるツーリングパッケージなど、ユーザーの使い方に即したパッケージオプションもいっそうの進化を果たす
ポルシェAGは2024年10月19日(現地時間)、第8世代のポルシェ911(992)のハイパフォーマンスモデルに位置する「911 GT3」の改良モデルを発表。また、ポルシェ ジャパンは同日、911 GT3の車両価格を2814万円に設定し、2024年内に予約注文の受け付けを開始するとアナウンスした。
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1999年のデビュー以来、レースの遺伝子と日常の使いやすさの究極の組み合わせを提供し続けてきた911 GT3。そのデビュー25周年を機に実施した今回の改良では、エアロダイナミクスの改善やさらなる軽量化、トランスミッションの最終減速比の変更、新しい軽量スポーツバケットシートの設定などを実施して、パフォーマンスをいっそう向上させる。また、今回の発表ではサーキット走行を重視したヴァイザッハパッケージと、控えめな演出でハイパフォーマンスを演じるツーリングパッケージの進化モデルを、初めて同時に公開した。
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911 GT3の改良ポイントを解説していこう。
まずエクステリアでは、フロントとリアのデザインをよりシャープに仕立てるとともに、エアロダイナミクス面の改良を実施。フロントディフューザーの輪郭変更やスポイラーリップの形状変更、アンダーボディのフィンの変更などを図って、エアフローを最適化させる。また、フロントにおけるすべてのライト機能を統合した新設計のLEDマトリックスヘッドライト(ホワイトアクセントリングをオプション設定)を採用。これによりフロントエプロンへの追加ライトを不要とし、エアインレットエリアを拡大した。一方、リアセクションではディフューザー、エアインレット、リアリッドのデザインを刷新。リアウイングには角度のついた新しいサイドプレートを組み込んだ。
インテリアに関しては、現行911モデルのデザインをベースとしたうえで、カレラモデルのようなボタンによる始動ではなく、ロータリー式のイグニッションスイッチを採用する。また、トラックスクリーンを配した専用グラフィックエレメントのメーターパネルやブラックのRace-Tex素材を使用したステアリングホイールなど、随所に専用アレンジを施した。さらに、可倒式バックレストとCFRP製シートシェルを備えた新しい軽量スポーツバケットシートをオプションで用意。ツーリングパッケージにはオプションでリアシートシステムも設定した。
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パッケージオプションの概要を紹介していこう。
まずサーキット志向のヴァイザッハパッケージは、リアアクスルにアンチロールバーやカップリングロッドを追加して、シャシー性能を強化。また、シアパネルはルーフやリアウイングのサイドプレート、サイドミラートップシェル、ミラートライアングル、フロントエリアのエアブレードなどと同様にCFRP材で仕立てる。さらに、インテリアにはレザーとRace-Texのトリムや“WEISSRCH”と刻印したプレート、同ロゴを刺繍したヘッドレストなどを採用。軽量化を目的にドアパネルを最適化し、合わせてCFRP製ロールケージをオプションで用意した。サーキット志向としてはほかにも、クラブスポーツパッケージを追加料金なしで選択可能。ボルトで固定されたリアのスチール製ロールケージやドライバー用6点式シートベルト、手持ち式消火器などを設定している。
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一方でツーリングパッケージは、ティアオフエッジを備えた伸長式リアスポイラーや有名なガーニーフラップ、アンダーボディに適応させたフィンデザイン、リアリッドグリルに配した“GT3 touring”ロゴ、上質なレザーインテリアなどを装備して、さりげないハイパフォーマンスを演出する。また、さらなる軽量化が図れるライトウェイトパッケージを設定。CFRP製ルーフをボディ同色で彩るほか、スタビライザーやカップリングロッド、リアアクスルのシアパネルがCFRP製となり、軽量鍛造マグネシムホイールと軽量ドアパネルも装備する。さらに、6速MT車には911 S/Tと同様の、ストロークが短縮されたシフトレバーを採用。シフトパネルには“Leichtbau”と刻んだプレートを配備している。
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パワートレインは基本的に従来を踏襲し、自然吸気で専用セッティングの3996cc水平対向6気筒DOHCエンジンを搭載する。吸気系には6バレルのスロットルバルブを組み込み、一方で排気系のスポーツエキゾーストシステムは2基のパティキュレートフィルターを内蔵しながら軽量化。最高出力は510ps(375kW)、最大トルクは450Nmを発生する。一方、組み合わせるデュアルクラッチタイプの7速PDK(7速ポルシェドッペルクップルング)とオートブリッピング機能を配した6速MTはセッティングを変更し、最終減速比を従来よりも8%短縮した。性能面では、7速PDKモデルが0→100km/h加速3.4秒、最高速度311km/h、6速MTモデルが同3.9秒、313km/hを実現している。
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シャシー面については、フロントアクスルのダブルウィッシュボーン式サスペンションにエアロダイナミクスに優れる専用開発のティアドロップ型トレーリングアームを採用したことがトピック。これにより、高速走行時におけるホイールアーチのダウンフォースの増加とブレーキ冷却の改善に果たす。また、ロアトレーリングアームのフロントボールジョイントをフロントアクスルのより低い位置に設定し、ピッチング(アンチダイブ)のさらなる低減を図った。シューズには前後異径サイズ(前9J×20/後12J×21)のセンターロック式鍛造アロイホイールと前255/35ZR20/後315/30ZR21タイヤを装着。ヴァイザッハパッケージではカリフォルニアゴールド塗装の、ツーリングパッケージではシルバー塗装の軽量鍛造マグネシウムホイールをオプションで用意している。
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提供元・CAR and DRIVER
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