インドのガネーシャとは、ヒンドゥー教の神様の1人です。象の神様といえば、すぐピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。
人気の神様で、インド中どこにでも祀られています。幸福をもたらし、エゴやネガティブなエネルギーを払拭する幸運の神様。
インドで必ず見かけるガネーシャについて解説します。
目次
ガネーシャとは?
ガネーシャとは、ヒンドゥー教の神様の1人です。破壊神と呼ばれるシヴァ神様と奥様のパールヴァティの息子と呼ばれています。
象の神様といえば、なんとなく想像できる方もいらっしゃるかもしれません。インドだけではなく、日本にもガネーシャを祀ったお寺があります。
歓喜天と呼ばれる神様はガネーシャがモチーフになっているといわれています。
ガネーシャの背景
ガネーシャは、世界各国で人気があります。主にヒンドゥー教徒の方々が信仰していますが、幸運の神様、成功の神様と考えられているからです。ガネーシャの背景には、ヒンドゥー教のインド神話が深く関係しています。
インド神話は時には道徳の代わりにもなるほど尊い話もあるので子どもから大人まで読まれています。しかし、漫画のようにつっこみどころのある話も多いです。
ガネーシャが生まれる神話も思わずつっこみたくなるポイントが満載ですが、これがインドの良さ。ガネーシャの生い立ちは、パールヴァティ(母)の「垢」を集めて作られ魂を吹き込まれたのだとか。ガネーシャの顔はもともと人間の顔をしていました。非常に美しく、容姿端麗な男の子だったそうです。
日本の昔話にも、垢から生まれた「力太郎」というお話があります。もしかしたらガネーシャに関係があるのかもしれません。
スピリチュアルな効果
ガネーシャのスピリチュアル効果としては、豊作祈願・商売繁盛・知識や学問向上などがあります。縁起がいい神様なので、お祝いごとや人がたくさん来てほしい場所には必ずガネーシャがいます。
日本のインドレストランでもよく見ることができるでしょう。
ガネーシャの家族と神々の関係
実はガネーシャの母、パールヴァティはインドで最も尊い三大神の1人、シヴァ神の奥様です。
インドには「ブラフマー」「ヴィシュヌ」「シヴァ」という神様がいて、この3人が世界を作ったといわれています。シヴァ神は破壊と再生の神として祀られており、その風貌からヨガや踊りの神様としても有名です。
パールヴァティは神話の中でも人気の女神です。彼女は、ドゥルガーやカーリーなどいろいろな神に生まれ変わって神話に登場します。
インド国内では、シヴァ、パールヴァティ、ガネーシャが3人そろって描かれている絵をいろいろなところでみることができます。
ガネーシャ誕生のエピソード
ガネーシャがまだ人間の顔だった頃、パールヴァティがガネーシャに入浴の見張りを頼みました。
ガネーシャはお母さんのいうことを守って、誰も中にはいらないように見張っていました。そこに帰宅した旦那様のシヴァ神。
神話上では、ガネーシャはパールヴァティとシヴァが夫婦だということをなぜか知らなかったのです。
見張りをしているガネーシャと家に入りたいシヴァは大喧嘩となり、シヴァはとうとうガネーシャの首をはねて西の方に投げてしまいました。
ここで死なないのが神話のいいところ。パールバティは悲しみにあけくれ、不憫に思ったシヴァは首を探す旅にでかけました。
旅の途中、シヴァは最初にみつけた象の頭を切り落としてガネーシャにくっつけたところ、ガネーシャは生き返ったのです。ガネーシャは折れた牙や象のように長い鼻をもっていますが、その風貌にはいろいろな力が備わっています。
小さな目は集中力を表していて、必要な情報を見ることができる智慧をもった神様といわれるゆえんです。他にも、大きな耳、折れた牙、6本の手に持っている持ち物、ネズミを乗り物としていることなど、それぞれにきちんと意味があり、1つ1つの神話が道徳のような物語になっています。
ガネーシャ効果と日常生活への影響
ガネーシャは、幸福の神様の象徴です。お祝い事には必ずといっていいほどモチーフとなっています。例えば、家族の誕生日や結婚、新築祝いなどおめでたい席にはいつもガネーシャがデザインされています。
カレンダーやノートなどにもよく使われています。ビジネスや学習の神様でもあります。
ガネーシャには、幸福をもたらすだけではなく執着やネガティブなパワーを振り払い、障害を乗り越える効果もあるといわれています。
ガネーシャ信仰と神話の理解
家に祀る神様は、地方や家系によってもかなり異なります。しかし、ガネーシャだけは東西南北どこでも「家神様」として祀っている家が多いです。
重要な儀式だけでなく、日常的にガネーシャにお祈りしているのは、それだけ人々が成功と幸福を望んでいる証拠なのでしょう。
さらに、ガネーシャチャトゥルティと呼ばれるガネーシャの誕生日には、至るところにガネーシャが並びます。
最も盛大にお祝いされる都市は、西インド地方、特にプネが有名です。プネでは、ガネーシャチャトゥルティの期間に道の至るところでガネーシャを飾ります。
お祭りの最終日には、大きなガネーシャが道を練り歩きます。お祭り以外の日常では、仕事始めの初日、学校やプロジェクトなどの大事なことを始める時にガネーシャにお祈りをするのです。
お守りとして、車のバックミラーにガネーシャを飾っているタクシーをよく見かけることもあります。
あらゆる人が得られるガネーシャの恩恵
ガネーシャのご利益は、障害を取り除く、妄想を払拭し、現実をみる、魂の解放など問題を取り除く「手助け」をしてくれるといわれています。
日本でも「夢をかなえるゾウ」という本が出版され、ドラマ化もされました。ストーリーは、ガネーシャ神話をベースにしていますが現代的なお話になっています。
ごく平凡なサラリーマンが「神様」を名乗る謎の生物・ガネーシャの指南によって自らの人生を変えていく物語が描かれています。
インドでのガネーシャ スピリチュアル体験
インドでは、日本と違い宗教が非常に生活レベルに浸透しています。お寺のお坊さん(パンディット)は冠婚葬祭はもちろん普段から人生相談に乗ったり、祈祷しています。
そうそう、ある日非常に不思議な体験をしたので、今日はそれをシェアしたいと思います。ガネーシャが空から降りてきたのを見ることができた話です。
ヒンドゥー教のお葬式と風習
インドではガネーシャを含め、いろんな神様がいます。ガネーシャ、クリシュナ、ヴィシュヌ、ドゥルガーなどそれぞれ家のルーツや地域で変わります。
もちろん1つだけではなく、複数の神様を祀っている家庭もあります。ある日、主人の家族に不幸がありインドのお葬式に参加することになりました。
ヒンドゥー教では、家神様は家主がなくなった後、13日間家から離れるという言い伝えがあります。
13日目にお坊さん(パンディット)がお越しになり、その家に神様を呼び戻す儀式を行いました。その家では、ガネーシャを中心にクリシュナ、ドゥルガーを祀っていました。
写真は、ガネーシャが戻ってくるための儀式で約3時間のプジャー(御祈祷)です。
日本の神様と同様、レモンやハーブ、ヤシの実を人間や模型にみたてて、祈祷をしていきます。その間、お坊さんはずっとお経(マントラ)を唱えています。
1つ1つの準備に時間がかかり、当初の予定は大幅に遅れていました。家族から男性2名が選ばれ、お坊さんの指示に従ってプジャを進めます。
いつも飾ってあるガネーシャ。故人は毎日ここで朝のお祈りを欠かしませんでした。長いお経が続いた後、飾られたガネーシャと他の神様が並んでいます。
お経はテンポが速くなり、鐘の音やお坊さんの声もだんだん大きくなっていきました。そしてクライマックスになると、不思議な瞬間が訪れたのです。
家の中なのに上から光がすっと入ってきたかと思うと、ガネーシャの中に入りました。最初、目を疑いました。
こうして3時間にも及ぶプジャは無事に終わり、家神様は無事に家に戻ってきたのです。
お経(マントラ)はガネーシャがシヴァとパールヴァティーが創り出され、出会い、愛し合い、ガネーシャが生まれるまでを説いているものでした。
左がパールヴァティで右がシヴァの化身です。そして、これらを結婚式と同じように見立てて、真鍮の神様にパワーを宿していきました。
ガネーシャプジャの感想
今までは、プジャというと「長い」「わからない」「つまらない」と思っていました。しかし、この3時間1つも欠けることなく儀式を見届けて初めて意味がきちんと分かった気がします。
水をかけることも、花を飾ることも、マントラもすべてはこの世に存在するパワーを集めるため。
神様を宿すには、いろんな作業をしながらお経を唱え時間のかかる作業だったのです。こういうことだったのかと納得しました。
インドガネーシャの魅力とガネーシャの背景まとめ
ガネーシャだけではなく、インドにはたくさんの魅力的な神様が存在しています。東西南北で信仰されている神様も違いますし、すべて理解するのは難しいでしょう。
1つだけ言えるのは、スピリチュアルは何も特別なことではなく「物事に感謝する」「清潔にする」など道徳にも似た行為です。そこで得た経験は、わかる人にしかわからないのでしょう。
インドはスピリチュアルとハイテクが共存している不思議な国です。どんなに技術革新が進んでも、神様の存在を怪しんだり毛嫌いはしません。
ヒンドゥー教の寺院や道にならぶガネーシャを見かけたら、そっと手を合わせてお会いできたことに感謝をしてみてください。きっといいことがあると思います。
文・写真・田澤ともき/提供元・たびこふれ
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