10代で女優やモデルとして活躍し、美人コンテストでも優勝を重ねてきたタミー・リン・レパートは、18歳のときに忽然と姿を消した。

 レパートは1983年3月、かの有名なギャング映画『スカーフェイス』に出演した。しかし、同映画の公開から3カ月後の7月6日、米フロリダ州ココアビーチで姿を見られたのを最後に、彼女は失踪してしまった。このときのレパートの服装は花柄の青いデニムシャツとそれに合わせたスカートで、灰色の財布を持っていた。

 レパートの母親によると、娘は「誰かに命を狙われている」という思い込みにとらわれていたという。しかも、失踪直前のレパートは友人に3回、電話をかけようとしていた。しかし、誰とも通話できずに終わった。

 警察の報告によると、当時の捜査ではレパートの失踪に関連する手がかりは何も見つからなかった。後に2人の連続殺人犯が誘拐の容疑者として浮上したが、両者とも証拠は不十分だった。捜索では少なくとも14体の遺体が調査され、いずれもレパートのものではないと結論付けられた。レパートが麻薬トラブルに巻き込まれた、妊娠していたなどの噂も囁かれている。

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(画像=画像は、「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 レパートが初めて美人コンテストに参加したのは、まだ4歳のときだった。その後、彼女は美人コンテストに約300回参加し、約280回の優勝を手にしている。7歳のときに両親の離婚を経験するが、演劇とモデル活動の斡旋人だった母親のリンダ・カーティスによる献身的なサポートのもと、順調にサクセスロードを歩んで行った。

 1982年7月、レパートは青春映画『スプリング・ブレイク』に出演。同作の撮影後、彼女は町の外で開催されるパーティーに出かけたが、この時から様子がおかしくなったという。悩みを抱えていたようだが誰にも相談せず、明らかに何かに怯え、電話にも出ようとしなくなった。この様子を見たリンダが何かあったのかと尋ねると、レパートは「見るべきではない、ひどいもの、本当に悪いものを見た」と答えた後、「自分を殺そうとしている人たちがいる」と言って口をつぐんだ。その後も、自分を偵察している人たちの存在に怯え、部屋に閉じこもりがちになった。

 そして1983年3月、『スカーフェイス』の撮影に参加した彼女は、4日目まで問題なく仕事をこなしていた。しかし、4日目に出演者が銃撃されるシーンの撮影があり、人工血液が噴出するのを見たレパートはヒステリックに泣き叫んだ。その様子が尋常ではなかったため、彼女はトレーラーに連れ戻された。当時のキャスティングディレクターによると、レパートは恐怖と不安で泣き叫びながら、マネーロンダリングについて何かを口走っていたという。

 映画の撮影から抜けて帰宅したレパートは、リンダに連れられて地元の保安官と話をした。しかし、彼女は自分の命が危険にさらされていると訴えるのみで、何に怯えているのかを決して話さなかった。また、誰かが自分を毒殺しようとしていると思い込み、開封された容器からの飲食を拒否し、他人の皿に盛り付けられた料理しか食べなくなった。

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(画像=画像は、「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)

 リンダは娘の精神状態を改善しようと試み、「あなたを愛しているわ」と何度も伝え続けた。また、レパートをメンタルヘルスセンターに連れて行き、心身の徹底的な検査を受けさせた。結果として、レパートから薬物やアルコールの使用の証拠は発見されず、観察のために72時間入院した後、退院した。帰宅後のレパートは、リンダに「何かが起こったら、きっと復讐して」と約束させた。何が起こるのかを尋ねると、レパートは「彼」はまだ私を殺そうとしていると答えたという。

 退院翌日の7月5日、レパートは親友のリック・アダムスと出かけた。2人は教会で祈り、そのときにレパートは数分間激しく泣いたという。翌6日午前11時頃、レパートは友人のキース・ロバーツと出かけた。ロバーツによると、2人はビーチへ向かう予定だったが、ドライブ中に口論となり、レパートはロバーツにココアビーチにあるビルの駐車場で降ろしてほしいと要求したという。ロバーツはその要求に応じ、午後3時頃にレパートを降ろした。後にレパートは叔母のコスチュームショップに3回電話をかけ、緊急のメッセージを残した。叔母は当時町を離れていて、電話に出られなかった。レパートは友人にも3回電話をかけたが会話することはできず、そのまま失踪した。

 レパートの家族は、失踪がマネーロンダリングに関連している可能性があると考える。というのも彼女はリンダに、自分の友人がブレバード郡での大規模な薬物絡みのマネーロンダリングについて自慢していたと語ったという。マネーロンダリングには著名人や警官、銀行家も関与していたため、レパートは自分の身の安全に危機感を抱くようになったとされる。しかし、これらの主張を裏付ける証拠は現在も見つかっていない。

「命を狙われてる…」40年前に突然失踪した有名美少女は何を見たのか? 全米が怯える未解決事件
(画像=画像は、「YouTube」より ,『TOCANA』より 引用)

 レパートと最後に会った友人のロバーツが容疑者とされたが、レパートの失踪に結びつく具体的な証拠は出てこなかった。リンダは後に、ロバーツが徹底的に調査されていないと批判した。

 一方、「ビューティー・クイーン・キラー」として知られる連続殺人犯、クリストファー・ワイルダーが容疑者である可能性も指摘された。ワイルダーは、フロリダやテキサス、オクラホマ、ネバダ、カリフォルニア、ニューヨークで、少なくとも12人の女性を誘拐して暴行し、少なくとも8人を殺害した。ワイルダーの最初の犠牲者は、ココアビーチからわずか数マイルのところにある商店街から誘拐された。

 リンダは、ワイルダーとレパートが『スプリング・ブレイク』の撮影中に出会ったと主張する。さらに、ワイルダーがレパートの写真を撮ろうとしたり、ワイルダーに似た男が1983年にモデルを探していたと訴えた。リンダらは、ワイルダーがレパートを誘拐して殺したと考え、ワイルダーに対して100万ドルの訴訟を提起した。しかし、ワイルダーの死後に訴訟は取り下げられた。

 そして警察もワイルダーとレパートの失踪を結びつけられなかった。一方、連続殺人犯、ジョン・ブレナン・クラッチェリーを容疑者と考えたが、後にクラッチェリーは関係ないと結論付けている。

 レパートの失踪から約40年経った現在も、レパートの妹であるスザンヌは手がかりを求め続け、情報を持っている人は誰でも警察に出頭してほしいとFacebookページで訴える。未解決事件は、残された家族をいつまでも苦しめ続ける。レパートの身に何が起こったのかが明らかになる日が訪れることを願いたい。

文=標葉実則

提供元・TOCANA

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