■最先端の治療技術を体験

　だが、しんどいのは学校にいるときより、むしろ自宅だと話す。“不治の病”のような症状にライリーさんがいら立てば、家族は悪化してゆく彼女の心身の健康状態を目の当たりにして、互いが追いつめられてしまうからだ。

　それでも母親のサラさんはどんなことをしてでも娘を救い出すと決心している。

「娘には助けが必要です、だれかこの状態に詳しい人の。彼女は将来、医療関係の仕事に就きたいと願っていたのです。でも、このままではその夢が叶わないかもしれないんです」

　地元の医療関係者に見切りをつけたサラさんは、フェイスブックやクラウドファンディングサイトに娘の最新情報を投稿して広く助けを呼びかけるようになった。

　その甲斐あって、ユタ州の医療施設「Cognitive FX」とテレビ電話でコンタクトをとることに成功。この施設は「脳震盪後症候群（PCS：post-concussion syndrome）」に対して、独自の専門的治療を行っていることで知られている。

　幸いにもCognitive FXの医師団から、ライリーさんに実験的治療法を提供すると発表があり、ユタ州に滞在しながら最先端の治療技術を受けているライリーさんの様子がフェイスブックを通じて伝えられている。

　1人の少女の脳内で起こっている孤独な戦いは、まだ始まったばかり。世界中から善意と募金が続々と寄せられる中、この生きながらにして魂の牢獄のような凄まじいノンフィクションドラマが、なんとしてもハッピーエンドを迎えることを祈らずにはいられない。

文＝佐藤Kay

提供元・TOCANA

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