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本気で復活する伝統のクーペ、現時点で最終モデルは5代目
本気で復活する伝統のクーペ、現時点で最終モデルは5代目
MOBY編集部が以前、「AIに聞いてみた、30~50代のクルマ好きが気になる名車」という企画でさまざまなクルマを紹介したうち、名車の系統ながら販売時には人気ジャンルから外れて冷や飯をくらっていた、ホンダ プレリュードの4代目と5代目。
“「悪くないんだけど乗る人はゼロ」90年代にはもう居場所がなかったホンダ 4代目・5代目プレリュード【推し車】”で紹介した時には、もうデートカー的なFFラグジュアリークーペなど売れるものかと思っていました。
しかしホンダは2022年4月にスペシャリティスポーツとして復活を宣言、翌年のジャパンモビリティショーにコンセプトカーを発表しており、どうやら本気のようで…今回は現時点でまだ「最後」のプレリュード、1996年に発売した5代目を紹介します。
RVブームで不人気とはいえ、発売時の話題性は高かった
現時点で「最後のプレリュード」である5代目が発売された1996年11月が、日本自動車史においてどんな時期だったかというと…「RVブーム」の真っ只中で、1980年まであれほど人気だったセダンやクーペが保守的で無駄なクルマと全否定されていた時期です。
スバル レガシィツーリングワゴンでステーションワゴン、三菱 パジェロ(2代目)でクロカンSUV、ホンダ CR-VでクロスオーバーSUV、同 オデッセイや同 ステップワゴンでFF低床ミニバン、スズキ ワゴンRでトールワゴンと、続々と「RV(※)」が大ブレイク。
(※RV=レクリエーショナル・ビークルの略。SUVに限らない新世代乗用車の総称だった)
3代目プレリュードの王座を日産のシルビア(5代目S13)が蹴落とした、デートカー市場で人気のクーペも、S14シルビアが3ナンバー化で肥大化するのを待つまでもなくRVに取って変わられており、日本にプレリュードの居場所などありません。
それを察したホンダも4代目プレリュード(1991年)からスポーツ路線に転向しますが、たとえスポーツクーペであろうと、インテグラタイプR(1995年)のような「本気の本物」以外は受け入れられなくなっていました。
そこで心機一転、5代目プレリュードはデートカー的なラグジュアリークーペ路線へ回帰して登場しますが、リトラクタブルヘッドライトではなく固定式ヘッドライトで、FF車でありながらロングノーズ・ショートデッキのFR車的なスタイルは初代に似ていると話題に。
それでいてコンセプトは2~3代目のラグジュアリークーペ路線ですから、これが成功すれば「クーペの復権もあるかも?」と、RVブームに馴染めないユーザーは一筋の望みを託したものです。
出力向上したエンジンやATTSなど、新技術は満載
初代から3代目までのコンセプトを集約した、「古くとも新しいラグジュアリークーペ」に回帰した5代目プレリュードですが、上級モデル用の2.2リッター直4DOHC VTECエンジンH22Aがリッター100馬力の220馬力へパワーアップするなどスポーツ路線もアリ。
ただし同じ2.2リッターエンジンでも135馬力の直4SOHC版F22Bを積む廉価グレード「Xi」を設定していたあたり、当時のホンダはオデッセイなどRVブームに追従しつつ、「形だけはカッコイイクーペ」をまだ作らねばと、旧来の思想から脱却できていなかったようです。
このようなグレード設定は、同じ形をした「本当のラグジュアリークーペ」のブランドを損ねてしまうので、SiRやタイプSなど、上級グレードがそれなりに力作だったことを思えば残念なことでした。
それでも上級グレードでは2代目以来伝統の4WS(4輪操舵)が設定されたり、後に4輪駆動力配分システムSH-AWDへ発展する、左右駆動力配分システム「ATTS」を最上級グレードの「SiR タイプS」(後にSiRが外れ「タイプS」)に設定。
パワフルなエンジン、優れた操縦性をもたらす駆動制御システム、豪華内装によって、スポーツからラグジュアリーまでこなすクーペとなったものの、結局は前評判だけで販売が振るわず、2000年9月に廃止されてしまいました。
モータースポーツでも活躍できるピュアスポーツならともかく、高級感といってもしょせんは大衆車レベルにとどまる国産ラグジュアリークーペの終焉でもありましたが、数年後に復活するという最新のプレリュードに果たして「居場所」はあるのか。
世界的にSUV人気の中、あえてのクーペで逆張りを仕掛けるホンダにとっては、また「注目は集めただけ」で終わらぬとよいのですが、なるべく多くのユーザーからの期待に応えられるクルマであることを、期待します。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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