羽毛の起源か?用途はなんだったのか?
今日の鳥類に受け継がれている「羽毛」は、鳥類型恐竜において初めて誕生したとするのが現在の定説となっています。
そのシナリオはこうです。
まず、初期の獣脚類(Tレックスやヴェロキラプトルを代表とする肉食グループ)において「恒温性能」が進化し、その体内の温度を守る断熱材として羽毛が誕生しました。
そしてこれらの羽毛が徐々に大きさや複雑さを増していく中で、滑空のための機能を獲得するに至ったのです。
「恒温性能の誕生」について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。
体温を一定に保つ「恒温性能」は1億8000万年前の恐竜の間で進化していた!
その一方で、一部の古生物学者は「ロンギスクアマの突起は多くの点で鳥の羽に似ているため、羽毛を最初に獲得した恐竜と共通の祖先を持っていたのではないか」と考えるようになりました。
そしてロンギスクアマは恐竜よりも先に誕生していたことから「羽毛の真の起源はロンギスクアマにこそあったのではないか」と。
確かにロンギスクアマの突起は鳥の羽によく似ていたため、そう考えられてもおかしくありません。
しかしこの仮説も、ロンギスクアマの突起の材質が羽毛とまったく違うこと、ロンギスクアマのグループは鳥類型恐竜の系統とは大きくかけ離れていることなどから、これまた明確に否定されています。
ではロンギスクアマは何のために棒状突起を生やしていたのか?
今のところ最も有力なのは「求愛や威嚇のための装飾だった」という説です。
おそらく、オスがメスに求愛したり、あるいは他のオスのライバルと競い合う際に使われた可能性があります。
他方で、この突起は明らかに悪目立ちするものだったはずです。
この形質がその後の爬虫類に受け継がれていないところを見ると、天敵に見つかりやすく、種の存続にとって不利に働いたと考えられます。
残念ながら、ロンギスクアマはもうこの世にいませんが、その生きた姿を見ることができれば、とても素晴らしい眺めだったでしょう。
クトゥルフ神話の怪物みたいな「未知の深海生物」を発見!
参考文献
This Ridiculous Reptile’s Hockey-Themed Decor Might Change What We Know About Feather Evolution
The odd little reptiles of the Triassic forests: Longisquama
元論文
The ‘feathers’ of Longisquama
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。