SPDの低迷の責任はショルツ首相にあることは言うまでもない。ヴァイマー記者は「辛辣な真実は、ドイツ人の3分の2が首相をリーダーシップに欠けると考え、彼の『信号連立』は失敗し、国内での尊敬も失われ、彼は衰退の首相として見られていることだ」と指摘している。

ところで、ここで問題がある。テーマの中心にいるショルツ首相自身はそのようには受け取っていないことだ。換言すれば、首相と大多数のSPD幹部たちの間では現状に対する認識で相違がある。ショルツ首相は1日、東部2州議会選の結果に対し、「結果は苦々しいものだが、SPDは5%の壁を越えられないという暗い予測があったものの、現実にならなかったことに安堵している」と語っているのだ。ショルツ首相自身が東部州議会選には余り期待せず、戦う前から敗北は織り込み済みだったことを示唆しているわけだ。

アメリカではバイデン米大統領に再選断念を説得するために苦労したように、SPD幹部たちは今、ショルツ首相に「あなたではもはや選挙は勝てないから、来年の総選挙では党筆頭候補者の立場から降りてほしい」と言わざるを得ない状況になっている。それだけではない。ショルツ氏に代わる指導者、後継者を準備しなければならない。SPDのハリス探しだ。

ちなみに、ヴァイマー記者はショルツ首相の後継者候補として、①ボリス・ピストリウス国防相、②ステファン・ヴァイル・ニーダーザクセン州首相、③ラース・クリングバイル党首の名前を挙げている。そのうち、年齢的に若い46歳のクリングバイル党首を有力候補と見ている。すなわち、‘SPDのハリス’だ。

いずれにしても、SPDにとって最初の仕事はショルツ首相を如何に退陣へと説得するかだ。誰もその仕事を喜んで引き受ける幹部はいないだろう。ショルツ首相自身が全く退陣の意思がないからだ。唯一、可能な道は今月22日に実施されるブランデンブルク州議会選でSPDが与党の地位から落ち、AfDに第1党の地位を奪われ、ショルツ首相退陣の声がSPDの支持者から飛び出してくるケースだろう。